荒々しきガイランゲル・フィヨルドと愛らしいフィヨルド馬:山形豪のノルウェー紀行(2/2 ページ)
今回はブリクスダール氷河と世界遺産ガイランゲル・フィヨルドを紹介する。フィヨルド馬は、大昔からほとんどその姿を変えていない、極めて珍しい品種だ。
荒々しさが際立つガイランゲル・フィヨルド
今回のノルウェー紀行で紹介する最後のフィヨルド、それがガイランゲル・フィヨルド(Geirangerfjord)だ。ユネスコ世界遺産に登録されている景勝地で、古くからノルウェー南西部の観光の目玉となってきた。
以前紹介したハダンゲル・フィヨルドが女性的な美しさを持つといわれるのに対し、両岸に急峻な崖が迫り、いくつもの滝が流れ落ちるガイランゲル・フィヨルドの風景は荒々しさが際立っている。
ガイランゲル周辺には多くのハイキングルートのほか、車で行ける展望台がいくつかあり、そのいずれからも雄大な絶景が楽しめる。また、小型艇によるボートサファリでフィヨルドを体感するという選択肢もあるので、楽しみ方は多様だ。
このような美しくも厳しい自然環境は、昔から人の住処となってきた。崖の中腹に時折現れる僅かな草地に、何と民家が建っているのだ。現在は山小屋として利用されるのみらしいが、最近まで羊などの放牧で細々と生計を立てる人々が住んでいたという。そうまでして人界を離れねばならない理由が彼らにはあったのかと勘ぐってしまうくらい凄い場所だ。
パワースポットに建つホテル・ユニオン
ガイランゲルは古くから観光地として人気を博してきたため、宿泊施設も多い。中でもホテル・ユニオンは1891年からこの地にある老舗だ。設備は充実しており、特にスパやサウナなどのリラグゼーションに力を入れている。
ホテルの中をエネルギーラインが通っていたり、近くにヴァイキングの古墳があったりと、いわゆるパワースポットにあるので、リフレッシュしたい人にはお勧めだ。スパのデザインには風水まで取り入れたという。
ホテルの地下にはクラシックカー博物館が併設されており、1920年代から1930年代にかけてのスチュードベーカーやビューイックなどの車がずらりと並んでいる。ほとんどが宿泊客の送迎用に使われていた車で、どれもいまだに走るというから驚きだ。
船で巡るノルウェー
非常に長い海岸線と多くの入り組んだフィヨルドを持つノルウェーは海運大国だ。船は人々の日常に欠かすことのできない交通手段となっており、客船を運行する会社の数も多い。
沿岸急行船フッティルーテン(Hurtigruten)もその1つだ。ノルウェー南部のベルゲンと極北のキルケネスとを結ぶ2600キロの定期航路は世界で最も美しい船旅と称され、日本から利用客も多い。ガイランゲルも寄港地の1つとなっている。
著者プロフィール
山形豪(やまがた ごう) 1974年、群馬県生まれ。少年時代を中米グアテマラ、西アフリカのブルキナファソ、トーゴで過ごす。国際基督教大学高校を卒業後、東アフリカのタンザニアに渡り自然写真を撮り始める。イギリス、イーストアングリア大学開発学部卒業。帰国後、フリーの写真家となる。以来、南部アフリカやインドで野生動物、風景、人物など多彩な被写体を追い続けながら、サファリツアーの撮影ガイドとしても活動している。オフィシャルサイトはGoYamagata.comこちら
【お知らせ】山形氏の新著として、地球の歩き方GemStoneシリーズから「南アフリカ自然紀行・野生動物とサファリの魅力」と題したガイドブックが出版されました。南アフリカの自然を紹介する、写真中心のビジュアルガイドです(ダイヤモンド社刊)
関連記事
- 「トラベル」インデックス
- 世界遺産のネーロイ・フィヨルドとフロム山岳鉄道
ユネスコ世界自然遺産に登録されたノルウェー南西部のフィヨルド群を船と鉄道で楽しもう。幅が非常に狭く、高さ数百メートルもある切り立った崖が左右間近まで迫ってくる。 - 自然エネルギー大国のフィヨルドを行く
ノルウェー南西部には風光明媚なフィヨルドが多数存在する。中でも、ベルゲンの街に比較的近いハダンゲル・フィヨルドは人気のスポットだ。 - ノルウェー建国記念日に第2の都市「ベルゲン」を歩く
ノルウェーは、豊かな文化と美しい自然に彩られた国だ。特に国土の南西部のフィヨルド地域は多くの旅行者を魅了する。旅は、ハンザ同盟の拠点として長い歴史を持つ港街「ベルゲン」からスタートする。 - プロトレック「PRW-5100」を使って、ノルウェーでいろいろ測ってみた
カシオのアウトドアウオッチ「プロトレック」シリーズの最新機種「PRW-5100」をノルウェーで使う機会を得た。登山鉄道で登ってみたり下ってみたり、フィヨルドで、氷河でいろいろ測ってみたり。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.