4月期スタートのゴールデンタイム&深夜枠の連続ドラマに異変!?:映画ウラ事情
ゴールデン枠には原作なしのオリジナルの作品が、深夜枠にはゴールデンで主演をはれる俳優が。どういった変化があったのだろうか。関係者に聞いた。
「映画ウラ事情」とは:
映画専門サイト「ハリウッドチャンネル」で連載中の、映画業界のウラ側や疑問を読み解く納得のコラム(※この記事は、ハリウッドチャンネルより転載しています)。
4月期スタート連続ドラマのゴールデンタイム枠では、「ハンチョウ〜警視庁安積班〜」(TBS系・月曜20時)、「新・おみやさん」(テレ朝系・木曜20時)といったお馴染みの作品から、史上最長となる21年連続連ドラ主演を務める観月ありさの刑事ドラマ「Answer〜警視庁検証捜査官」(テレ朝系・水曜21時)、「セカンドバージン」の大石静脚本の群像劇「クレオパトラな女たち」(日テレ系・水曜22時)、天海祐希主演のミュージカルドラマ「カエルの王女さま」(フジ系・木曜22時)など、原作なしのオリジナル作品まで、個性的な作品が揃った。
一方の深夜ドラマ枠は、長澤まさみ主演の「都市伝説の女」(テレ朝系・金曜23時15分)、岡田将生主演「未来日記」(フジ系・土曜23時10分)、大泉洋が所属する劇団TEAM NACS主演、本広克行が総監修を務める「スープカレー」(TBS系・月曜26時04分)、週刊少年チャンピオンで連載中の同名ヤンキー漫画を賀来賢人主演で実写化した「クローバー」(テレ東系・金曜24時12分)など、ゴールデン枠かと見まがうようなラインアップとなっている。
かつては、ゴールデンと深夜帯では王道とマニアックといった感じで明らかな差があった。というのも、視聴者層がおのずと若者に限定される深夜枠だからこそ、若年層に特化した内容のものが作れ、実験的なことも可能となっていたからである。だが、今クールはどうも様子が違う。ゴールデンで主演をはれる俳優が深夜で活躍し、原作ものが多かったゴールデンでオリジナル作品が増加。どういった変化があったのだろうか。関係者に聞いた。
「まずひとつに、ドラマ向きの原作が減っているという背景があります。これは面白い原作が書かれなくなったというのではなく、これまで連ドラで原作ものを多くやってきましたから、いつか枯渇することは当然だったわけです。さらに、オリジナル作品『家政婦のミタ』『マルモのオキテ』といった作品がヒットし、原作の知名度に頼らなくても、面白い作品であれば視聴率が取れることが分かった。正直、広告収入が減っている現在、映像化権の権利料もばかになりませんからね」
オリジナル作品では脚本家へのギャランティが発生するとはいえ、権利料がかからないぶん、安く済むというわけか。では、深夜ドラマに関しては?
「ゴールデンに比べると、明らかに製作費は少ないぶん、アイデアや現場の機転で乗り切りと、ある意味、攻めの姿勢は昔と変わっていません。要は面白いことができる、と。そういった部分に役者さんが賛同しているというのはあると思います。自由度が高いぶん、自分の意見も通りやすく、何よりもスタッフと一緒になって作品を作り上げているという一体感が違う。また、若年層ターゲットということはネットで話題になることが多く、新たなファン層も獲得しやすい」
マンネリ化気味だったテレビドラマ業界、面白いことになりそうだ。
映画ライター:安保有希子
1975年生まれ。夕刊フジ、日経エンタテインメント、DVDレビューなど、新聞・雑誌で執筆する傍ら、ラジオで映画コメンテーターを務める。ジャンルを問わず映画を鑑賞するが、好んで足を運ぶのは、B級とホラーとアニメ。そのため、オタクと勘違いされやすいものの、決してそうではない、と頑なに言い張っている。
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