「家政婦のミタ」プロデューサーが高視聴率&人気の背景を分析――松嶋菜々子、起用理由は?:映画ウラ事情
「家政婦のミタ」の勢いがすごい。なぜオリジナルドラマの「家政婦のミタ」が好調なのだろうか。同作をプロデュースする大平太プロデューサーにさまざまな話を聞いた。
「映画ウラ事情」とは:
映画専門サイト「ハリウッドチャンネル」で連載中の、映画業界のウラ側や疑問を読み解く納得のコラム(※この記事は、ハリウッドチャンネルより転載しています)。
10月クールのテレビドラマが好調だ。特に、11月25日時点で最高視聴率23.5%を記録し、回を追うごとに視聴率を伸ばしている「家政婦のミタ」(日本テレビ系列で水曜22時から放送)の勢いがすごい。
ベストセラーをドラマ化した「謎解きはディナーのあとで」、木村拓哉主演で大々的な番宣を行った「南極大陸」、人気シリーズ「相棒 season10」など、多くの強豪作があるなか、なぜオリジナルドラマの「家政婦のミタ」が好調なのだろうか。同作をプロデュースする大平太プロデューサーにさまざまな話を聞いた。
「初回視聴率は19.5%を記録しましたが、タイトルとキャスティング、何をやらかすか分からないという興味本位があったと思います。その後、18.9%に落ちたものの、右肩上がりが続いている。どうしてこれだけ支持されているのか僕もはっきりとは分かりませんが、本作は家族の再生を深く掘り下げて描いているのですが、結局、いい話だけでは飽きてしまいます。それが、家政婦が何をするのか分からないという飽きさせない展開が興味を惹き、翌週も見たいという連続ドラマの形態にも合っているのでは、と」
さらに、こう付け加える。
「今、1話完結のスタイルが流行っていますが、それは途中から入れるという利点もありますが、飽きてしまうという怖さもある。逆を言えば、連続モノは途中から入ってこられないというリスクがあるのですが。でも、これだけ数字を取れているというのは、1話完結ではなく、連続する内容でよかったのだと思っています」
そして、他局の関係者に聞くと、「無表情で感情が読み取れない“家政婦のミタさん”を演じる松嶋菜々子の演技が素晴らしい」とのコメントが。
「年輩の方を主役に、毎回違う家庭に派遣されて家族を再生していく、というやり方も考えました。でも、1つの家族を深く描くには、1話完結では無理です。そこで、連続モノで1つの家族にフォーカスを当てるようにしました。その際、年輩の方が主役でもよかったのですが、子供たちがお母さんと同一視できるような年齢の人で、かつ、キャスティングの意外性を重視し、最も家政婦が似合わない人をイメージした結果、松嶋さんがピッタリだろう、となりました」
また、「家政婦のミタ」だけでなく、2011年の秋ドラマは、夏ドラマに比べて視聴率がいい。震災の影響で人が家にいるから……なのだろうか。大平氏の考えはこうだった。
「震災直後の春ドラマは視聴率が悪かったので、そういったものとは違うように感じます。それよりも、10月期は『南極大陸』を筆頭に、個性的なラインアップがそろったと思います。いつもは、医者モノや刑事モノなど、ジャンルが重なることも多い。でも、今回は『妖怪人間ベム』『11人もいる!』など、バラエティに富んだラインアップ。だからこそ、人々が率先して見ようとしている雰囲気があったのかもしれない。私も、いち視聴者として、今期は見たいドラマが多くて楽しいんです」
テレビドラマが盛り上がると、エンタメ業界も華やいで楽しい。このまま、来年の1月クールもテレビドラマが盛り上がることを期待したい。
映画ライター:安保有希子
1975年生まれ。夕刊フジ、日経エンタテインメント、DVDレビューなど、新聞・雑誌で執筆する傍ら、ラジオで映画コメンテーターを務める。ジャンルを問わず映画を鑑賞するが、好んで足を運ぶのは、B級とホラーとアニメ。そのため、オタクと勘違いされやすいものの、決してそうではない、と頑なに言い張っている。
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