三菱「ミラージュ」の車重は860キロ、競合と比較してみた
三菱自動車は小型車「ミラージュ」を8月31日から国内向けに販売する。アイドルストップ機能搭載モデルであれば、燃費はリッター27.2キロを達成する。
三菱自動車は8月1日、タイをはじめ東南アジアですでに販売しているグローバルコンパクトカー「ミラージュ」の国内向け販売を8月31日に開始すると発表した。JC08モード燃費は、アイドルストップ機能「AS&G(オートストップ&ゴー)」非搭載の「Eグレード」がリッター23.2キロ、AS&G搭載の「Mグレード」と「Gグレード」が同27.2キロを達成している。価格は、Eグレードが99万8000円、Mグレードが111万8000円、Gグレードが128万8000円で、100万円以下を実現している。
ミラージュの外形寸法は、3710×1665×1490ミリ(全長×全幅×全高)。車重はEグレードが860キロで、MグレードとGグレードが870キロである。これは、登録車の中で最軽量クラスであり、超小型の登録車として知られるトヨタ自動車の「iQ」(890キロ)より軽く、ダイムラーの2人乗り小型車「smart fortwo」(840キロ)とほぼ変わらない。
この軽量化は、ボディ構造の最適化により高張力鋼板の採用範囲を拡大することで実現した。その一方で、衝撃を吸収するフロント構造と高剛性のキャビン構造の組み合わせにより衝突安全性能も確保したとする。
空気抵抗を低減するために、流体解析や風洞実験によって外形デザインを最適化し、ボディの空力性能を示すCD値(Coefficient of Drag、低いほど良い)は0.27を達成した(Eグレードを除く)。
競合車種と比べて軽さと空力性能はトップ
ミラージュの競合車種となるのは、外形寸法と荷室容積が同クラスの、マツダ「デミオ」、トヨタ自動車「ヴィッツ」、日産自動車「マーチ」などの登録車である。登録車よりも税金面で有利な軽自動車は、直接の競合にはなりにくいと考えられる。
表1に、ミラージュを含めた4車種のアイドルストップ機能搭載モデルについて、外形寸法(全長×全幅×全高)、車重、CD値、室内寸法(長さ×幅×高さ)、荷室容積、エンジン性能(排気量/最高出力/最大トルク)、JC08モード燃費、車両価格、発売日を示した。
車両名 | ミラージュ | デミオ | ヴィッツ | マーチ |
---|---|---|---|---|
外形寸法 | 3710×1665×1490ミリ | 3900×1695×1475ミリ | 3885×1695×1500ミリ | 3780×1665×1515ミリ |
車重 | 870キロ | 1020キロ | 1000キロ | 950キロ |
CD値 | 0.27 | 0.29 | 0.285 | 0.32 |
室内寸法 | 1890×1390×1220ミリ | 1815×1425×1220ミリ | 1940×1390×1250ミリ | 1905×1370×1270ミリ |
荷室容積 | 235リットル | 250リットル | 274リットル | 251リットル |
エンジン性能 | 1.0リッター/51キロワット/86ニュートンメートル | 1.3リッター/62キロワット/112ニュートンメートル | 1.3リッター/70キロワット/121ニュートンメートル | 1.2リッター/58キロワット/106ニュートンメートル |
JC08モード燃費 | リッター27.2キロ | リッター25.0キロ | リッター21.8キロ | リッター23.0キロ |
車両価格 | 118.8万円 | 135万円 | 136万円 | 120.1万円 |
発売時期 | 2012年8月 | 2011年6月 | 2010年12月 | 2010年7月 |
外形寸法を見ると、ミラージュが突出して小さいのは全長だけで、全幅と全高は他の3車種と同等である。しかし、車重の軽さは競合3車種を圧倒している。最も重いデミオと比べて150キロ、最も軽いマーチと比べても80キロ軽いのだ。これに、新開発の排気量1.0リッターの可変バルブタイミング機構付き3気筒エンジンや新型のCVT「INVECS-III」、アイドルストップ機能のAS&G、0.27というCD値が加わることで、リッター27.2キロという低燃費を実現できたわけだ。
低燃費の小型車は、低燃費を実現するために、室内の広さや荷室容積を犠牲にしていることも多い。4車種の室内寸法を比べると、ヴィッツが最も広いことが分かる。ヴィッツを除くと、ミラージュは、マーチよりも狭く、デミオよりも広いというイメージである。荷室容積もヴィッツが274リットルで最も大きい。マーチが251リットル、デミオが250リットルで、ミラージュは最も小さい235リットルとなっている。三菱自動車は、「日常使用で不足のない荷室容量」としているが、これはユーザーの考え方によるだろう。
一般的に、エンジンの排気量が小さければ、燃費は向上すると言われている。ミラージュの場合も、競合3車種よりもエンジンの排気量、出力、トルクは下回っているが、燃費は最も良い。特筆すべきなのはデミオで、エンジンの排気量、出力、トルクでマーチを上回りながら、燃費も良い値になっている。
車両価格は、ミラージュが最も安いものの、マーチとの差は1万3000円程度である。燃費よりもエンジン性能と室内の広さを優先するのであれば、2年前発売の車種ながらマーチを選択する可能性もあるだろう。ミラージュよりも15万円以上高価なデミオとヴィッツはそれぞれ、デミオが室内の狭さ、ヴィッツが燃費の悪さという欠点がある。
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