2015年7月27日以前の記事
検索
レビュー

ドイツが威信をかけて育てた、スマート「エレクトリック・ドライブ」試乗インプレッション(4/5 ページ)

環境先進国にして自動車大国のイメージが強いドイツ。かつて実施したEV補助金政策の失敗を基に、開発力向上へと舵を切った。その成果が3代目「スマートED」である。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

クルマの性能だけでなく使い勝手まで考えられている

smart

 ただし、正直にいえば、現段階ではまだ日本製EVのほうが実用性でも性能面でも勝る。例えば、電池容量は三菱i-MiEVよりやや多めの17.6キロワット時を積み、145キロの航続距離を確保したのは、日本人の目から見れば標準的なEVの走行性能を満たしたに過ぎない。大人4人が乗ったほか十分な荷物を詰める日産リーフと比べて、2人乗りに小さな荷室が備わるだけのスマートのユーティリティが高いとはいいがたい。

 それでもなお、このクルマを重要視するのは、車両そのものの性能だけではなく、インフラやユーザビリティといった周辺技術も含めて技術を向上させ、最終的にはEVに適したビジネスモデルまでも開発しようとしているからだ。

 例えば、充電インフラ。欧州の家庭用電源で7時間、固定式電源で6時間を要するが、400ボルト/22キロワットの車載急速充電装置を使えば1時間で充電が可能になった。

 技術だけ見れば日本の方が先行するが、ユーザーにとって重要なのはトータルの使い勝手だ。固定式電源からはサーバにつながり、安価な電力や自然エネルギーを選ぶなどの操作をスマホを使ってできる。レンタカー会社と提携して遠距離用のクルマを安くレンタルしたり、駐車場チェーンとコラボしてEVから他の交通機関への乗り換えもスムーズになるように考えられている。

smartsmartsmart

 販売方法も奮っている。「セールス&ケア」と呼ばれる新しいプログラムで、ユーザーは車体のみを1万5890ユーロで購入する。その他、毎月65ユーロで、電池のレンタルとメインテナンスが受けられる。ユーザーにとっては、エンジン車のスマートと比べて手ごろな価格で手に入り、充実したメインテナンスとサポートを受けて安心して乗れるならEVを選ぶ価値が増す。もちろん、従来どおり「クルマを丸ごと買いたい!」という人には1万9900ユーロで販売もしている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る