第59鉄 「C61 20」復活、碓氷峠鉄道文化むら――青春18きっぷで行く機関車王国ぐんま:杉山淳一の +R Style(5/5 ページ)
D51、C61と蒸気機関車が高崎〜水上間を走り、信越本線横川〜軽井沢間跡地には、本物のEF63形を運転することもできる「碓氷峠鉄道文化むら」がある。そんな機関車王国、群馬県へ日帰り旅。シメはもちろん、峠の釜めしだ。
横川駅でホカホカの「峠の釜めし」を買える
横川駅から帰途につく。横川駅といえば有名な駅弁「峠の釜めし」だ。いまでは全国の駅弁大会で定番となっているが、発祥はこの駅。なぜ「峠の釜めし」が有名になったかというと、列車が機関車を連結する待ち時間に、乗客がこぞって弁当を買ったから。そして、立売の販売員が整列して、発車していく列車におじぎをする様子が美談として伝わったから。そしてもちろん、なんといっても美味しかったから。
オバちゃんが出してくれた「峠の釜めし」を受け取ると、ホカホカ温かい。おぎのやの弁当工場は横川駅の近くにあり、そこからできたてを運んでくるという。横川駅を発着する列車は減ったけれど、「峠の釜めし」は今でも新幹線車内やドライブインなどで人気の商品。工場の生産能力は最大で1時間に3600食。夏休みなどのハイシーズンはフル稼働でも追いつかないくらいだそうだ。
オバちゃんによると、衛生面の配慮から工場見学は不可。ただし地元の子ども達には工場を紹介するビデオを見せてくれるそうで、うずら卵をゆでるための巨大な機械がスゴイらしい。工場が1日10時間稼働すれば3万6000食以上か……。それもスゴイけど、3万6000個のうずら卵はどこから来るんだろう。どこかで毎日、3万6000羽以上のうずらが卵を生んでるんだなあ、などと思う。
そういえば、横川駅前に「荻野屋資料館」という小さな建物があった。今日は閉館していたから、次に来た時のお楽しみとしよう。
今回の電車賃
青春18きっぷ 1回分 2300円
SLみなかみ 指定席券 510円
著者プロフィール:杉山淳一
肉食系鉄道ライター(魚介類が苦手)にして、前世からの鉄道好き。生まれて間もなく、近所を走っていた東急池上線の後をついていったという逸話あり。曰く「いつもそばを走ってたから、あれが親だと思った」
東京都生まれ。信州大学経済学部卒。出版社でパソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当したのち、1996年にフリーライターとなる。IT、コンピュータゲーム、鉄道、ファストフードなど多方面で執筆。本業の傍ら、2005年に信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学にて非常勤講師。鉄道趣味歴40年超。全国の鉄道路線完乗を目指してコツコツと旅を重ねている。
著書は『もっと知ればさらに面白い鉄道雑学256(リイド社)』『知れば知るほどおもしろい鉄道雑学157(リイド社)』『A列車で行こう9 公式ガイドブック(エンターブレイン)』『A列車でいこうDSナビゲーションパック(アートディンク:同梱冊子担当)』など。
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