G-SHOCKのふるさとを訪ねる――カシオタイ工場フォトレポート:あの洪水から1年半(1/6 ページ)
2011年10月に、タイ中部で起きた大洪水を覚えているだろうか。アユタヤの工場団地が冠水し、操業停止に追い込まれた日本企業の工場も多かった。カシオもその1つだ。あれから1年半。タイのカシオ時計工場はどうなったのだろうか?
バンコクから北東へ約300キロ、タイ東北の田舎町チョクチャイに行ってきた。のどかな田園風景が広がるこの町には、「G-SHOCK」などカシオの時計を生産する工場がある。
あの洪水から1年半。新工場への移転&洪水被害からの復旧
G-SHOCKは、山形、中国、タイの3カ所で作られている。このうち、主に高級モデルを扱う山形工場については以前、詳細なリポートをお届けしている(参照記事)。今回訪れたのは、G-SHOCKを中心にローエンドからハイエンドまでの幅広いカシオウオッチの生産を行っているタイ工場である。
もともとカシオのタイ工場は、バンコクからほど近いタイ中部のナワナコン工業団地内にあった。だが2011年10月に発生した大洪水で被災し、甚大な被害を受けた。そこで翌年3月にこの新工場に移転し、新たなスタートを切ったのだ。
ナワナコンには、カシオ以外にも多くの日本企業が工場を置いている。タイ政府からは、堤防を作るなどの洪水対策案も出ていたが、同じ場所で操業再開するには、水が引くのを待ち、すべてを処分して改築しなくてはならず、どう見積もっても半年はかかる。カシオでは「洪水対策をしても、今後のリスクがなくなるわけではない。ナワナコンで復旧するよりも、洪水が起こらない場所を選ぶほうがベター」と判断、新しい場所への工場移転を決めた。
現在の工場は、バンコクから車で4時間、北東に向かって約300キロメートル進んだ先にあるナコンラチャシマ(通称コラート)県内のチョクチャイという町の中にある。
旧工場は海抜4メートルだったが、チョクチャイの新工場は海抜約200メートルで、洪水の心配はない。約14万平方メートルの広大な敷地内に第一と第二という2つの工場を備え、約1100名の従業員が働いている。生産品目の数はG-SHOCKを中心とした550モデルで、生産本数は月産50万本。この月産50万本という数字は洪水前の約80%にあたるが、9月までには100%に達する見通しだ。
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