JALの現役CAに聞く──ファーストクラスのサービスと“和”のもてなし:秋本俊二の“飛行機と空と旅”の話(3/4 ページ)
JALが利用者数を伸ばしている。その“復活”を支えてきたのが、サービスの最前線で活躍するCA(客室乗務員)たちだ。JALサービスの極意について、最高峰であるファーストクラスを担当する現役CA、秋澤麻由さんに聞いた。
個々にカスタマイズされたサービス
──ファーストクラスのサービスで心がけていることは?
秋澤: まず、受け身ではいけないということです。何かを要求されて、それに応えるというのではなく、お客さまの要望をこちらで察してお声がけをする。ご様子をうかがって、例えば「のどが渇いた頃かな」と見計らって冷たい飲み物のオーダーをうかがいにいく。そういうサービスを心がけています。
──乗客一人ひとりで提供するサービスもまったく違うわけですね。
秋澤: おっしゃるとおりです。お客さまが機内に乗ってこられて、最初にごあいさつにうかがいますよね。そしてジャケットをお預かりし、新聞をサービスして、お食事のメニューをお渡しします。それと同時に、JALではお客さまの「お過ごしプラン」をうかがうという行動があります。仕事にお疲れで、ゆっくり休みたいのか。目的地に到着するまでの間にお仕事を進めたいのか。あるいは大事な商談を終えてホッとされて乗ってこられて、機内では乗務員とコミュニケーションをとりながらフライトを楽しみたいのか。それを把握することから、私たちの仕事は始まります。
──どう過ごしたいかを、聞くわけですか?
秋澤: ストレートに「どう過ごされますか?」とお聞きすることはありません。例えば「お仕事での滞在でしたか?」といった会話から始まり、自然なコミュニケーションを通じて情報を収集し、一人ひとりのニーズを察知します。それには、やはり多くの経験が必要ですね。乗られる前に食事をされてきたことがわかれば、「では機内でのお食事は少し遅めの時間にしましょうか」というご提案になります。
──そういう部分は、確かにマニュアルでは教えられないでしょうね。
秋澤: そうですね。先輩の体験談を聞いたり、これまでの乗務経験から自分なりのスタイルをあみだしていくしかありません。幸いロングフライトの場合は、ステイ先で先輩たちといろいろ話す機会も多いので、お手本となるようなことは率先して自分でも取り入れてみるよう心がけています。またフライト後に必ず実施されるデブリーフィングなど、JALではとくに乗務員同士の情報交換を大切にしていると思います。一人ひとりのお客さまが、どういう状況で、何を望まれているのか。想像力を発揮してそういうことを常にイメージしながら、やるべきサービスを考えていく。やり方は人それぞれで、個性も出ますし、何よりも人間力が問われる仕事だと思います。
──秋澤さん自身は、何を大切にしていますか?
秋澤: いろいろ経験を積んで、引き出しを増やすことも必要ですが、どんな会話にも完璧に対応できるなどということはまずあり得ません。その意味では、自分もお客さまから常に学んだいるという謙虚さも必要です。感謝の気持ちプラス、謙虚な気持ちですね。
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