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旅客機を安全かつ時刻表通りに送り出す「グラハンさん」:JALの舞台裏(3/4 ページ)
航空会社が一番重視するのは安全性、これは間違いない。では次に来るのは? そこに航空会社の特色を見てとれる。JALが選んだのは「飛行機を時刻表どおりに飛ばすこと」だった。
清掃から機内食搬入まで10分もかからず
JALが国内線で運航するボーイング737-800は、エコノミークラスよりも広めの座席を持つ「クラスJ」を設定した2クラス構成で、座席数はおよそ160席。乗客がすべて降りたことを確認した清掃スタッフ3人は、手早く使用済みのイヤフォンや乗客が残していったゴミを回収していく。また、ヘッドカバーや座席前のポケットに入れてある機内誌などの状態も確認して必要であれば新品に交換する。子供向けのお土産(プラモデルやパズルなど)もこのタイミングで補充される。
3人の清掃スタッフは、シートの清掃や備品の補充、機内の掃除機かけを分担して進めていく。作業時間短縮のために、客室乗務員もシーツをたたみ直したり、ギャレー(機内食を準備する場所)に集められたゴミを外に出したりといった作業を手伝っていたのが印象的だ。
機内食や飲み物が、機体前部右側の扉から搬入されてきた。ケータリングトラックは荷台部分を機体の高さに合わせて上昇できるようになっている。また、コンテナは前側にも扉があり、機体への搬入時には運転席の屋根の上に取り付けられたブリッジを経由して、機内食が入った車輪付きボックスごと運び込める。
こうして機内の作業は10分もかからずに終了。この後、機長と副機長、客室乗務員ら全員で出発前のブリーフィングを行って、乗客の受け入れを待つことになる。
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