空港で預けた手荷物、手元に戻ってくるまでどうなってるの?:JALの舞台裏(1/4 ページ)
飛行機の旅ではスーツケースを機内に預けることも多い。到着地で当たり前のように出てくる荷物、一体どういう作業が行われているの?
飛行機に搭乗する際、私たちは手荷物を当たり前のようにカウンターに預け、到着地で当たり前のように受け取る。一見何の変哲もないサービスのようにも思えるが、よくよく考えてみるとこれはかなりの「無茶振り」だ。
カウンターで預かった大量の荷物を、離陸までの間のごく限られた時間内に安全検査に通し、出発便ごとに正確に仕分け、そして機体まで速やかに運んで積み込む。1日に数便しか発着しないローカル空港ならまだしも、ひっきりなしに飛行機が離着陸するターミナル空港ともなれば……。
空港や航空会社のスタッフは一体どのようにしてこなしているのだろうか? JALの協力を得て、羽田空港における手荷物取り扱い業務の裏側を取材した。
カウンターの裏側では一体何が行われているのか?
まずは、手荷物を預け入れるカウンターから始めよう。ここでは手荷物の個数や重量を確認し、出発便別に発行したタグを荷物に貼与する。壊れ物や精密機械が手荷物に含まれている場合などに備え「取り扱い注意」のタグも用意されている。
大きな特殊荷物のための専用キャリーケースも用意されている。例えば、大型楽器のための専用ケースは、コントラバスがそのまますっぽり入るようになっている。また近年では、ペットを飛行機旅行に連れて行くケースも増えているそうで、そうしたニーズにきめ細かく応えられるよう、ペット用のケージも3サイズが用意されている。
さて、カウンターでの手続きを終えた手荷物は、読者もご存じのとおりベルトコンベアに載せられていずこかへと運び出されていく。ここからがいよいよ本題だ。
まず、ベルトコンベアに載せられた手荷物は、仕分け作業場所まで自動的に運ばれる。ちなみに羽田空港のJAL国内線では「カウンターベルト」と「直線ベルト」の2系統に分かれているのだが、お気づきだったろうか?
スーツケースやボストンバックといった荷物はカウンターベルトに載せる。途中、X線検査を行う「インライン検査装置」と呼ぶ機械があり、この中を通すことで危険物が含まれていないかどうかをチェックする。
一方、直線ベルトはその名のとおり、カウンター裏から手荷物仕分け場所まで一直線に伸びている。楽器ケースやペット、あるいはサーフボードといった大型荷物は、カーブのあるカウンターベルトでは運べないため、直線ベルトが使われるのだ。
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