ギョーカイへのなじみ具合を見分ける方法(1/2 ページ)
新社会人にとって、入社から約1カ月経ったあたりにやってくるゴールデンウィークは、いいものか悪いものか微妙なところである。社会人の先輩の目からみれば、せっかくなじみ始めたところで休みを入れるより、半年ぐらいがむしゃらに突っ走ってもらったほうがイキオイが付いていいんじゃないか、と思うのではないだろうか。下手に考える時間があって、「オレの人生これで良かったのか」などと思い始めると、大抵ロクなことにはならないものである。
筆者が社会人になって飛び込んだ業界はテレビ関係であったため、一般的な常識や用語が全く違って、大変にとまどったものだ。最初はテレビ業界独特の、言葉をひっくり返して喋るのが気恥ずかしくて、なかなか言えなかったのを覚えている。その代わり、いつ会っても挨拶が「おはようございます」で済むのは、時間を気にしなくていいので、大変楽だった。
一方で出版業界の挨拶は一般社会と同じなので、いつもとまどう。10時半ぐらいに会ったら「おはようございます」なのか「こんにちは」なのか、17時ぐらいは「こんにちは」なのか「こんばんは」なのか、そういう微妙な判断が未だによくできないのは、そのせいかもしれない。
「業界語」のイントネーション
IT業界の新人というのは、いったいどれぐらいで一人前になるものなのだろうか。先輩からすれば、早く業界になじんで「使える」ようになって欲しいと思うことだろう。人や職種にもよるだろうが、そいつがなじんだかどうかを見分ける方法があるので、お教えしよう。
それには、その業界だけで頻繁に使われる外来語を言わせてみればいい。たとえば「サーバー(*1)」とか「ワーム」とかだ。あるいは「ベクター」とか「アップル」でもいい。
これらの単語は、本来頭にアクセントがある。ここで便宜的に太字になっている部分を強く、あるいは音程を高く発音すると決めようか。すると“サーバー”は「さあばあ」、ワームは「わあむ」といった具合になる。
だが業界内ではほとんど、サーバーは「さあばあ」であり、ワームは「わあむ」と発音しているはずである。こうして書くと、アクセントの位置が逆転しているように見えるが、これは相対的にそう見えるだけだ。正確には第一音節にあったアクセントを、逆に低くしているのである。
「ベクター」とか「アップル」とか、どっちにアクセントを置いた方がギョーカイっぽいか、試しに言ってみて欲しい。圧倒的に第一音節のアクセントを取って逆に下げた方がギョーカイっぽいのではないだろうか。
もし新人がすでにこんな発音の仕方をしているのであれば、字面だけでなく、相当その単語を聞いたりしゃべったりしているしているということであり、だいぶ業界人らしくなってきたということにつながるだろう。
平坦化するイントネーション
専門家の間で外来語のイントネーションが変化する現象は、「専門家アクセント」として、東京外語大教授である井上史雄氏 著「日本語ウォッチング」(岩波新書)の中で報告されたのが最初だろうか。
この本の初版は1998年だが、井上氏は1970年代から同様の現象に気づき、調査を続けた結果、その言葉をよく使う人たちのみに起こりうるイントネーションの変化であることを指摘している。もしかしたらもっと古い著作もあるかもしれない。
井上氏は同書の中でこの現象を、「イントネーションが平坦化する」と分析している。だが筆者はもう少し細かいプロセスがあると認識している。つまり全体がいきなり平坦化するのではなく、前出で述べたように「第一音節のアクセントを取り去って、反対に低くする」という現象が先に起こり、その結果として残りが平坦化する、と捉えている。その根拠は、筆者の造語だが「発音エネルギー助走の法則」による。
*1(編集部注) 実はITmediaでは標準的な表記スタイルとして、“サーバー”ではなく、“サーバ”を使っている。その根拠として、内部的にはいろいろ小ざかしい理由付けがされているのだが、要はコンピュータ(コンピューターではない)業界内ではこうした言葉で、最後の音引き1個を“惜しむ”ほうが一般的かつ伝統的(?)という判断からだ。つまりメモリも“メモリー”ではなく“メモリ”である(固有名詞は別)。だが、本文ではその内容に合わせて“サーバー”としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
Gmail、他社メアドを送信元にできる機能を廃止へ
-
2
個人開発「家系ラーメンマニア」で利用者急増 対応追いつかず一部停止 「より信頼していただけるアプリに」
-
3
「プチプチ」の川上産業、「プチプチ株式会社」に社名変更 創業58年で
-
4
熊本地震で地面がずれた場所、35kmの線状に 衛星データで「変位境界」を判読 国土地理院
-
5
ワークマン、実は画像生成AIを導入していた 間に合わない商品撮影を代替 アプリ通知開封も1.5倍
-
6
東大、60代教授を懲戒処分 サイトのHTMLソースに“不適切な言葉” 「六四天安門」問題が理由と毎日報道
-
7
「高学力=ストレスに耐えられる」ではない 秀才が苦しむ一方、収入・満足度が高いのは…… 医学生・医師1000人超を分析
-
8
管理アカウントを手順書に誤記載――東芝テック、顧客情報38万件が特定の1社から閲覧できる状態に
-
9
写真加工アプリ「SNOW」にステマで措置命令 報酬付きでX投稿依頼、広告表示なし 消費者庁
-
10
「Xであなたをブロックした人が分かる」サイト拡散 ソースコードを見たら、IDとパスワード外部送信
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR