遺伝子から睡眠の謎に迫る!? という話(1/2 ページ)

» 2015年09月03日 07時00分 公開
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 「あー眠たい、どれだけ寝ても眠たいよ……」ってお疲れの人、現代人には多いかもしれません。必要な睡眠時間にはどうやら個人差があるようですが、睡眠もまた、遺伝子に影響されているのでしょうか。

 双子を使った研究により、睡眠時間の個人差のうち50%くらいは遺伝するらしいということが示されています。今回は、2つの異なる研究で最近分かってきた、睡眠に関わる遺伝子についてお知らせします。

睡眠サイクルのずれを引き起こす睡眠障害とは

 日本の国立精神・神経医療研究センターのチームは、概日リズム睡眠障害の原因となる遺伝子を明らかにしました。

 概日リズム睡眠障害とは何でしょうか。人間を含む多くの生物は、約24時間にセットされた概日リズムのシステムを体の中に持っています。私たちはこのリズムのおかげで朝起きてから夜まで活動し、夜になると眠くなって睡眠をとるというサイクルが体の中に組み込まれているのです。

 このリズムが正しくセットされずに睡眠と覚醒が困難になることが、概日リズム睡眠障害と呼ばれています。この睡眠障害のうち、例えば、睡眠相後退症候群(DSPT)は、体内時計の時間が遅い時間にずれて固定化し、そのため夜眠れず朝起きられないという状態が続きます。また、非24時間型睡眠覚醒症候群(FRT)は、体内時計が1時間ずつ後ろにずれていき、夜眠る時刻が毎日遅くなってしまうという症状が現れてしまう状態です。

遺伝子多型で朝型か夜型かがわかっちゃう

 研究チームは、概日リズム睡眠障害をもつ182人のDSPTと67人のFRTの人々、そしてコントロールとなる925人の遺伝子について調査しました。

 この結果、PER3という体内時計関連遺伝子の多型(SNP)が、DSPTとFRTの症状と強く関連することが示されたのです。また、この関連は睡眠障害ではない人でも朝型であるか夜型であるかと関わっていることが分かったのです。今後、この遺伝子が個人の体内時計や睡眠リズムの特徴の目印となりうるかもしれません。

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