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» 2015年09月11日 08時00分 UPDATE

杉山淳一の「週刊鉄道経済」:最後の夜行急行「はまなす」廃止でどうなる? (1/4)

JR北海道が札幌〜青森間を結ぶ夜行急行「はまなす」について、来年3月のダイヤ改正で廃止する方針を固めたという。北海道新幹線の開業や車両の老朽化など承前の事情がある。はまなすの乗車経験から、この列車の実用性を考えてみたい。

[杉山淳一,ITmedia]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』、『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。 日本全国列車旅、達人のとっておき33選』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP


夜行急行列車「はまなす」 夜行急行列車「はまなす」

 札幌駅構内の土産物店は23時まで営業する。21時ごろの店内は夜遅くにもかかわらずとても混み合っていた。この時間帯だけでかなりの売り上げになるだろうと思われた。レジで支払いを済ませたお客さんたちは、レジの行列そのままの順で4番ホームに上がっていく。彼らは22時発の急行「はまなす」の乗客だ。2015年2月25日、私がはまなすに乗ったとき、ホームには入線を待つ乗客がたくさんいた。

 はまなすは札幌駅と青森駅を結ぶ急行列車だ。この列車はさまざまな理由で鉄道ファンから注目されている。まず、意外に思われるかもしれないけれど、JRグループでただ1つ、定期運行(毎日運転)の「急行列車」である。JRの急行列車は大手私鉄とは違って急行料金が必要だ。そして多くの列車が特急に格上げされたり、廃止されたりした。いまや定期列車の急行ははまなすだけだ。

寝台車は開放型B寝台。個室は無い 寝台車は開放型B寝台。個室は無い

 次に、残り少なくなった定期運行の夜行列車である。現在、定期運行の夜行列車は「サンライズ瀬戸(東京駅〜高松駅)」「サンライズ出雲(東京駅〜出雲市駅)」と、このはまなすのみ。上野駅と札幌駅を結ぶ「カシオペア」「北斗星」はほぼ隔日運転の臨時列車で、北斗星は2015年8月23日に運行を終了した。カシオペアも廃止の見込み。ただし年に数回の臨時運行を検討中のようだ。

 北斗星の運行終了(関連記事)で「最後のブルートレイン」と紹介したメディアも多かった。食堂車を連結した寝台特急という意味では最後だった。しかし、はまなすも青い車体を連ねている。ただし食堂車はなく、すべて寝台車でもない。座席車も連結しており、自由席と指定席がある。指定席のうち1両は「カーペットカー」という珍しい仕様だ。座敷で、一人分の区画は畳よりちょっと狭いけれど、横になって背筋を伸ばせる。料金は指定席料金のみで寝台料金は不要。ちょっとおトクな指定席として人気がある。

 このはまなすも廃止が噂されていた。その噂を裏付けるように、9月5日に新聞などが「2016年春のダイヤ改正ではまなす廃止」と報じた。理由は北斗星とほぼ同じ。北海道新幹線の開業により、青函トンネルを通れなくなる。車体が老朽化している……。

外観はブルートレインそのもの 外観はブルートレインそのもの
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