再び自宅で起業、2回目の挑戦だからこそのこだわりとは?経沢香保子の「ベンチャー魂は消えない」(1/6 ページ)

» 2015年11月11日 08時00分 公開
[経沢香保子ITmedia]

焦るだけの日々

 実は、2回目の起業をすると決めたものの、私は、どうやって創業メンバーを集めるべきかと考えあぐねていた。あうんの呼吸で仕事をしてきたメンバーはすべて前職の財産だから、そこからの引き抜きは避けるべきだ。とはいえ、創業メンバーは信頼できる仲間じゃないとスムーズに進みそうもない。どうしたものか……。

2回目の起業も自宅からスタートとなった 2回目の起業も自宅からスタートとなった

 思い返してみると、1回目の起業では、自宅でフリーランスの延長のように一人で始め、仕事が忙しくなってきてから必要なメンバーを一人一人集めていく方法をとった。創業して7年近く経ってから、上場を目指して、そこで初めて、幹部や経営メンバーを集めた。

 今回は、初めからやりたいことが明確である。ベビーシッターのCtoCサービスだ。

 宿泊サービス「Airbnb」のような誰もが参加できて、誰もが使いやすい、誰もが平等な、24時間利用できるベビーシッターサービスを提供したい。それを実現するには、開発とデザイナーが何よりも必要だ。今回は最初からテクノロジー企業にしてみたかった。ヒューマンタッチな部分が多いサービスだから、開発は内省化のほうが良さそうだと判断した。でも、どうやってきっかけをつかんだらいいのか分からなかった。

 「どこから始めればいいのか?」

 「早くサービスをスタートしたい」

 「他社が先にやってきたら悔しすぎる」

 「どうしよう、どうしよう」

 やっと見つけた人生での壮大な目標。頭の中にある、理想のベビーシッター文化を早く目の前の形にしたくて、世の中に提供したくて、ウズウズしていた。

 ところが、ふと思った。焦るのはやめよう。命をお預かりするサービスだ。会社が永続することが何よりも前提条件となる。だからこそ、しっかりした基盤を作らなくては。

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