IoTビジネス戦争が始まった! 日本企業が進むべき道とは

モラルはシステムで作れる!? タイムズ24の「カーシェアリングIoT活用術」第1回 ササる会議 リポート(1/2 ページ)

» 2015年12月01日 08時00分 公開
[鈴木亮平ITmedia]

 モラルはシステムで作れますーー。そう語るのはタイムズ24のタイムズカープラス事業部長、内津基治さん。

 タイムズ24はカーシェアリング事業で「利用者のモラルをIoT(システム)で作る」というとてもユニークな取り組みに挑戦しているそうです。一体どういうことなんでしょうか。

 11月11日に開催された、ITmedia ビジネスオンライン初の読者向けトークイベント「第1回 ササる会議」に内津基治さんを迎え、詳しくお話をうかがいました。

利用者のモラルをIoT(システム)で作る

 タイムズ24はもともと駐車場事業を柱とする会社。2003年から全国のタイムズ駐車場と情報センターをつなぐ、「TONIC」(トニック)と呼ばれる通信システムを導入しており、2009年からスタートしたカーシェアリング事業(タイムズカープラス)を始める前から“IoT”を活用した事業運営を行っているとのこと。

 「『24時間・365日・無人』で“駐車場”を貸すタイムズ駐車場は現在、システム、メンテナンス、コンタクトセンターで構成するプラットフォームによって成り立っています。このプラットフォームをそのまま利用して、“クルマ”を貸しているのがタイムズカープラス。だから新しいビジネスを立ち上げたという感覚はそんなにありません」

 タイムズカープラスはTONICのシステムを生かし、全国7300カ所にある、約1万3000台の車両と双方向通信が可能。そのため、クルマの位置はもちろん、速度、ドアの開閉状態、ガソリン、バッテリーの残量などの状態を把握することができるそうです。

photo タイムズカープラス事業部長の内津基治さん(左)。ITmedia ビジネスオンライン編集部、土肥義則(右)

 しかし、24時間・365日・無人でクルマを貸す場合、利用者に大切に使っていただけるかどうかは大切なポイント。乱暴に使う人ばかりだったら、終始修理や清掃などの対応で大変なことに。どのように対応していたのでしょうか。

 「カーシェアリングは基本的に無人のサービスです。この無人サービスを成り立たせるためには、『みんなのものを大切に使う』というお客さまのモラルが必要になります。日本人のモラルは世界でも高いほうにあり、大多数の方は何も言わなくても大切に使ってくださいます。でも、中にはそうでない方もいらして、そういう方に『大切に使ってください』というお願いをするだけでは、恒常的な解決にはなりません」

 そこで、この課題を解決するために利用者のモラルをIoT(システム)で作ることに取り組んだという。その名も「TCPプログラム」。

 「せっかくIoTでつながっているのだから、モラルを高める仕組みを作ろうって考えたんです。他の利用者のために大切に使うと、私たちがお礼としてポイントをあげるという仕組みです」

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