子どもの貧困、改善しなければ2兆9000億円の経済損失に 日本財団が推計

» 2015年12月03日 16時05分 公開
[鈴木亮平ITmedia]

 子どもの貧困を放置した場合、現在15歳の1学年だけでも経済損失が約2兆9000億円に上り、政府の財政負担は約1兆1000億円に増える──日本財団は12月3日、こうした推計を発表した。

 推計では、貧困家庭の子どもを支援し、教育格差を改善する対策を行った場合と、現状を放置した場合の2つのシナリオを比較した。現在15歳の子どもが64歳までに得る所得、収める税金、社会保障費の純負担額を算出し、両シナリオの差分を求めた。

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 高校や大学への進学率を上げるなどの支援を行う改善シナリオの場合、15歳から64歳までに得られる所得総額が約25兆5000億円であるのに対し、現状放置のシナリオでは約22兆6000億円にとどまり、その差額は約2兆9000億円に上る計算だ。

 また、64歳までに収める税金などから社会保障給付を差し引いた合計額は、改善シナリオで約6兆8000億円だが、現状放置のシナリオでは約5兆7000億円に減る。その差額の1兆1000億円が政府の財政負担になるとしている。

 現在15歳の子ども約120万人のうち、生活保護世帯、児童養護施設、1人親家庭の子ども約18万人を推計対象とした。実施時期は今年の7月〜11月。

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