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» 2016年09月28日 08時45分 UPDATE

マイク片手に「出発進行!」 異色の「鉄道カラオケ」が業界大手から生まれたワケ (1/3)

「快特品川行きです 次は京急蒲田に止まります」――そんなフレーズから始まる“カラオケ”がある。配信しているのは通信カラオケ大手のエクシングが展開する「JOYSOUND」。異色の「鉄道カラオケ」はなぜ生まれたのか? 企画の生みの親に聞いた。

[青柳美帆子,ITmedia]

 「快特品川行きです 次は京急蒲田に止まります」――そんなフレーズから始まる“カラオケ”がある。その名も「鉄道カラオケ」。

 どんなものなのか。鉄道カラオケの“曲”をリクエストすると、画面には運転席からの映像が現れる。電車がホームを発車すると、「発車定時 快特 次 蒲田停車」という運転士の喚呼のテロップ。運転席からの風景を楽しみながら、途中「進行!」といった掛け声も。駅が近づくと「次は京急蒲田です 羽田空港方面はお乗り換えです」と車掌によるアナウンスのテロップが表示される。

ALT 車掌や運転士になりきって歌える「鉄道カラオケ」

 テロップに合わせ、それらしく読み上げれば運転士や車掌になりきって楽しむことができる。それが「鉄道カラオケ」だ。──と説明されても、何が面白いのかさっぱり分からないという人もいるかもしれない。だがこの鉄道カラオケ、ヒット曲に混じって多くのリクエストがあるのだという。

 配信しているのは通信カラオケ大手のエクシングが展開する「JOYSOUND」。第1弾は京浜急行電鉄(4月配信)、第2弾は東武鉄道(8月配信)というラインアップだ。異色の「鉄道カラオケ」はなぜ生まれたのか? 企画の生みの親、エクシング商品企画部副部長の伊藤秀樹さんに話を聞いた。

ミッションは“カラオケに来ていない人を呼んでくる”

 鉄道×カラオケというアイデアは業界初だ。担当者の伊藤さんがさぞ熱心な鉄道ファン(いわゆる“鉄”)だったのだろう――と聞いてみたところ、「実は、全く」とキッパリ返されてしまった。

 “鉄”ではないのにどうして鉄道カラオケの企画が生まれたのか。それには、カラオケ市場の現状が影響していた。

ALT エクシング商品企画部副部長の伊藤秀樹さん

 「今、カラオケ市場は横ばい状態にあります。更に成長していくためには、カラオケに来ていない人、来なくなってしまった人を呼んでくる必要がある。そのために、楽曲コンテンツを強化することはもちろん、もっとカラオケをより多くの方に楽しんで頂くために新たなコンテンツも生み出していきたいという思いがありました」

 そこで考えたのが鉄道ジャンルだ。鉄道ジャンルは、“マス”というよりもどちらかというと“ニッチ”に属しているように見えるし、“カラオケによく来る層”とも重ならないのでは――と思ってしまう。しかし逆に言えば、“普段カラオケに行かない層”“昔は行っていたけれど、環境の変化で遠ざかってしまった層”と重なると言うことができる。

 また、エクシングとレコード会社のテイチクエンタテインメントがグループ化したこともきっかけの1つだ。

 「グループ化するにあたって、『エクシングとテイチクのグループシナジーを上げたい』という想いがありました。そんな時、テイチクが鉄道関係のコンテンツを厚く出していると気づいたんです」(伊藤さん)

 演歌の大御所が名を連ねる老舗のテイチクだが、実は鉄道関係にも強いことで知られている。JR東日本の発車メロディの制作を担当し、また鉄道関連の映像コンテンツを多数販売している。

ALT テイチクの鉄道コンテンツをカラオケに活用

 「以前から、電車の車窓の風景に合わせてアナウンスをするカラオケコンテンツの企画は検討していました。テイチクのコンテンツを活用すれば、シナジー効果を生むという目標を達成でき、かつこれまでできなかった企画も成立するのではないか――と思ったんです」

京浜急行電鉄(京急)に話を持ち掛けると、乗り気で対応してくれ、さらに監修も申し出てくれた。こうして、いまだかつてない鉄道カラオケの企画が本格始動した。

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