ワタミ、最終赤字は13億円 16年4〜9期 新業態で外食事業の立て直し急ぐ

» 2016年11月10日 19時05分 公開
[伏見学ITmedia]

 長らく業績不振が続いている外食大手のワタミ。11月10日に発表した2016年4〜9月期の連結決算は、最終損益が13億5600万円の赤字(前年同期は20億6900万円の赤字)だった。居酒屋チェーン「和民」「わたみん家」をはじめとする国内外食事業の低迷に加えて、昨年に撤退した介護事業の損失などが響いた。

「わたみん家」などの国内外食事業は8億円を超える赤字に 「わたみん家」などの国内外食事業は8億円を超える赤字に

 売上高は482億7300万円(前年同期比30.6%減)、営業損益は10億6800万円の赤字(同14億1600万円の赤字)となった。国内外の外食事業が足を引っ張り、国内の売上高は228億6900万円(同2.3%減)、セグメント損益は8億6800万円の赤字(同15億6700万円の赤字)で、海外は売上高が60億4500万円(28.1%減)、セグメント損益が1億800万円(同2億2800万円の赤字)だった。

 収益改善に向けては、特に国内事業で不採算店舗の撤退に注力。和民および「坐和民」の32店舗、わたみん家を中心にした44店舗を、それぞれ新業態の「ミライザカ」「三代目 鳥メロ」に転換した。

ワタミの清水邦晃社長 ワタミの清水邦晃社長

 ミライザカは唐揚げと199円のハイボールを、鳥メロは焼き鳥と199円の生ビールを主力メニューとした専門性の高い居酒屋。この業態転換の効果は表れていて、転換した店舗の累計売り上げ実績値(オープンから9月末まで)は、ミライザカが前年比で133.3%、鳥メロが145.1%に伸びた。また、転換全店の1カ月あたりの平均営業利益増加額(7〜9月の平均値)は、ミライザカが124万1000円、鳥メロが85万2000円となった。

 ワタミの清水邦晃社長は「(和民やわたみん家など)従来の総合居酒屋と異なり、専門性を持つことで“売り”にしたい商品を明確に顧客に伝えることができる。それが好調の要因ではないか」と見ている。今後も業態転換を図り、2017年3月末までにさらに15店舗を計画する。

 海外外食事業もテコ入れする。業績悪化が止まらない中国では、海南航空グループのHMV Cultural F&B Groupと合弁会社を設立し、現在直営の30店舗をフランチャイズ(FC)化する。また今後は香港およびシンガポールを直営拠点に、アジア各国の有力企業と提携してFC展開を進めていく予定だ。

 2017年3月期通期の業績見通しについては、「黒字化必達」(小田剛志取締役経営企画本部長)を目指し、売上高1000億円、営業利益1億円、最終利益2億円と従来予想に変更はなかった。

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