トヨタ自動車の新型車「ルーミー」と「タンク」がバカ売れしている。発表では、11月9日の発売から1カ月でルーミーが約1万8300台、タンクは約1万7600台。端数の処理がどうなっているのかは分からないが、単純合計すると3万5900台。月販目標は各3750台と発表されているので目標の10倍になろうかという勢いである。
このルーミーとタンクはダイハツの新型車「トール」のOEM(相手先ブランドによる生産)であり、スバルでは同じクルマを「ジャスティ」として販売している。要するに良品廉価を標榜(ひょうぼう)するダイハツの商品をグループ全体の販売網で売るという連係プレイである。
この仕組みはよくできている。スバルはそもそもこのクラスに適したエンジンを持っていないし、他社がどんどん3気筒に切り替えていく中で、軽自動車に最後まで4気筒エンジンを搭載していたあたりから見ても、こだわりが浮き世離れしているところがある。コストを気にしないで済むモデルなら良いが、低価格で薄利多売の競争をする商品を開発させるのはいかにも危ない。
では、トヨタはというと、どちらかと言えば小型車を得意とはしていないし、北米のゼロエミッションビークル規制が極端に理想主義的な規制強化したことの対応として、複数の電気自動車を早急に開発しなくてはならない。もちろんその電気自動車はグループ各社が売ることになるだろう。いずれにせよ猫の手も借りたい状況でもある。小型車のスペシャリストであるダイハツがクルマを作ってくれて、それをトヨタ自慢の販売網で売れるのだから、願ったり叶ったりだ。
ダイハツにとっても自社だけでは逆立ちしても売れない台数をトヨタが売ってくれるので、開発費の回収が早まり、資金の回転が良くなる。運転資金は、経営的に見ると永遠に眠っているに等しい無駄金なので、回転率が上がると塩漬けになっていた資金が回収できてウハウハだ。ということで、グループ全社がハッピーになる見事な絵図になっている。
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