ヤフー“誰でも使える”スペースの効果コワーキングスペース「LODGE」

» 2016年12月19日 07時55分 公開
[青柳美帆子ITmedia]

 働き方改革に積極的に取り組んでいるYahoo!Japan(以後、ヤフー)。10月1日にオフィスを移転し、全社員が東京都千代田区の東京ガーデンテラス紀尾井町に集まっている。新オフィスの“目玉”の1つがコワーキングスペース「LODGE(ロッジ)」。社内だけではなく、社外の人間も自由に入れることが大きな特徴だ。11月1日から営業が始まり、現時点では誰でも無料で利用できる。

 営業がスタートしてから約1カ月半。LODGEはヤフー社内にどのような効果をもたらしているのだろうか。

ヤフー社内の“誰でも使える”コワーキングスペース「LODGE」

仕事もリラックスもできるコワーキングスペース「LODGE」

 LODGEはヤフー本社ビルの1フロア全てを使って展開する、最大で250人ほどが入れるコワーキングスペース。フリーWi-Fiを開放し、電源席(コンセントを使える席)もいくつか用意されているので、じっくり仕事ができる環境だ。ハンモックやソファなどもあるため、リラックスした時間を過ごすこともできる。

 動画配信サービスのグループ会社GYAOが主に使用するスタジオや、最先端の映像表現やユーザーインタフェースを研究開発する先端技術応用室、キッチンスペースなどを併設。VR体験、Fab機器、はんだスペースなども設ける予定だ。また、一部スペースを利用して、勉強会や発表会などのイベントも積極的に開催している。家具は全て可動式なので、大規模なイベントにも対応できる仕組みだ。

 営業時間は午前9時から午後9時まで。カフェ「CAMP17」や社員食堂「BASE17」が併設されている。午前11時から午後3時までは、ヤフーの社食を楽しめるのも大きなアピールポイントだ。お昼時には、ランチ、仕事、ミーティングなど、さまざまな用途で社内外の人が訪れ、席がほとんど埋まるほどの盛況ぶりを見せていた。

お昼時に利用できる社食。600円台と比較的リーズナブルにランチを楽しめる

なぜLODGEは生まれたのか

 LODGEはどのような思いのもとに作られたか。Yahoo!Japanアプリの開発と、LODGEの運営を担当するヤフー植田裕司氏はこう語る。

 「ヤフーは今年で20周年を迎えた。日本中の『知りたい』『買いたい』といった欲求の課題解決をしてきた。しかし、まだまだ事業領域に入っていない社会課題は多い。オープンな場所を作り、課題発見をして、解決するサービスを生み出したい。目指すゴールを山の頂きとして、出発準備を行う山小屋(LODGE)のような場所になり、他の人と交わって勝ちパターンを学んでいけたらと思っている」

 そうして生まれたLODGEには、「無料で、オープンで、未完成」というインターネットのイメージが盛り込まれているという。利用料が無料であること、外部にも開放していること、内装デザインなどはそのイメージを反映している。キャッチコピーは「みんなで『!』を生み出す場所」だ。

 スタートしてから1カ月半、1日に100〜150人ほどの外部の人間が出入りする。毎日やって来る人、朝から晩まで利用する人など、常連も多いという。ランチの時間は席がほとんど埋まるほどの盛況だ。イベントの開催は日に1〜4件と盛況で、イベントに訪れた人は累計で1800人を超えた。

社内に与えた効果

 LODGEの存在は、ヤフー社員にどのような影響を与えているのだろうか。植田氏によると、ヤフーが採用している「フリーアドレス制」との相性が非常によいのだという。執務エリアでは、チームで集中して通常業務。食堂では、広い空間でのミーティングや、1on1ミーティング。そしてLODGEでは、景色のいい場所でのびのび作業を行ったり、社外とのコラボ業務をしたり――と、業務の内容と合わせてワークプレースを切り替え、生産性を上げることができているのだ。

 また、LODGEがあることで、社員が社外から人を呼び込むことの抵抗が減り、「社員のインプット・アウトプットの増加が見られている。IT業界の他社も気軽に利用しているので、自然発生の出会いを求めてここに来る人も増えている」(植田氏)といった効果も生まれているようだ。それに対応して「よく来てくれている人同士をいかにつなげるか」という課題意識もあるという。

 LODGEは、17年3月末までは現在の利用規定で運用する。その後は、体制や料金体系なども含めて未定となっている。

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