日産、純利益8.5%減 為替変動響く 16年4〜12月期通期予想は据え置き

» 2017年02月09日 20時09分 公開
[ITmedia]

 日産自動車が2月9日発表した2016年4〜12月期連結決算は、売上高が前年同期比7.6%減の8兆2647億円、純利益が8.5%減の4141億円だった。北米と中国で販売台数を伸ばしたものの、為替が前期よりも円高だった影響が大きく、減収減益だった。

photo 北米で販売が好調なSUV「ローグ」

 世界販売台数は2.6%増の399万3000台だった。販売が好調な米国は4.2%増の116万4000台。スポーツタイプ多目的車(SUV)「ローグ」や主力セダン「アルティマ」が全体をけん引した。中国も8.2%増の92万9000台と大きく伸びた。

 一方、日本は10.0%減の34万4000台。後半は「セレナ」や「ノート」の新型車が販売を伸ばしたものの、三菱自動車の燃費データ不正問題による軽自動車「デイズ」の販売停止が大きく響いた。

 利益面では、為替変動の影響がマイナスだった。営業利益は14.3%減の5032億円。為替変動が2614億円の利益減少要因となった。販売台数の増加や購買コスト・原材料費削減などの効果もあったが、補いきれなかった。米国で販売店に対するインセンティブ(販売奨励金)が上昇していることも響いた。

通期予想は据え置き

 17年3月期通期の見通しは、16年5月に公表した業績予想を据え置いた。売上高が前期比3.2%減の11兆8000億円、営業利益が10.5%減の7100億円、純利益は0.2%増の5250億円を見込む。世界販売台数は3.3%増の560万台の見通し。

 為替が円安に推移する状況にあるが、業績予想は据え置いた。その理由について、会見した田川丈二常務執行役員は、「想定為替レートを16年5月から変更しておらず、米ドルで1ドル=105円としている。16年4〜12月期の実績は106円。現状とそれほど離れていない」と説明した。また、米ドル以外の通貨によるマイナス影響なども含めて、「全てを勘案すると、見通しを変更する必要はない」と判断した。

 最大市場の米国では、インセンティブの上昇が懸念材料。販売が伸び悩むセダンなどの乗用車市場で特に上昇していることから、好調なライトトラックやSUVの販売を強化している。ローグや「タイタン」「アルマーダ」といった大型車種を投入してきた。田川常務執行役員によると、15年までは米国の販売台数における乗用車比率は55〜60%だったが、16年4〜12月期には50%まで縮小させた。今後も高収益が見込める大型車種の市場で商品投入を急ぐ。田川常務執行役員は「利益と台数成長のバランスを取った経営をしていく」と方針を語った。

photo 2016年4〜12月期決算を発表した日産の田川丈二常務執行役員

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