17年のAR・VR市場は1.6兆円 20年には10倍の可能性IDCが予測

» 2017年03月09日 14時56分 公開
[ITmedia]

 IT専門調査会社のIDC Japanは3月9日、世界のAR(拡張現実)・VR(仮想現実)市場の予測を発表した。2017年はヘッドセットなどハードウェアに加えてソフトウェアの技術が発展し、関連サービスを合計した支出額は前年比2倍超の139億ドル(約1.6兆円)に上る見込みだ。また、各分野が順調に推移した場合、20年の支出額は17年の約10倍の1443億ドルに達するとみている。

photo 17年のAR・VR市場の支出額構成比

 17年の領域別での支出額はコンシューマー領域が最も多く、62億ドルを占めると予測。ビジネス領域での支出はまだ小規模で、比較的利用が進む組立製造業と小売業を合わせた支出額が10億ドルになる程度だという。ただ、人々の生活にAR/VRが溶け込むにつれてビジネス領域でも発展するとみており、15年〜20年の年間平均成長率(CAGR)が高い業種として小売業(238.7%)、交通・運輸業(233.7%)、ヘルスケア(231.8%)を挙げている。

 17年に多くの投資額を集めるユースケースは、「小売り業での見本展示」で、4億6100万ドル。以下、「製品開発」(2億6700万ドル)、「設備のメンテナンス」(2億4900万ドル)と続いた。中でも、製品開発の15年〜20年のCAGRは403%で、大きな伸びを見せると予測している。

 技術別では、17年はVRを活用したゲームや有料コンテンツが人気を集め、ARのニーズを上回ると予測。一方、18年以降はヘルスケア、プロダクトデザイン、マネジメント分野でAR関連支出が急激に伸びるとみている。

 IDC Japanは、「国内ではエンターテインメントなどコンシューマー分野での利用に目が行きがちなAR・VRだが、世界では製造業など数多くのビジネス領域での活用が進められている。企業のCIO(最高情報責任者)は、AR・VRの導入について、世界の事例を参考にしつつ検討を始めるべきだ」と提言している。

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