正露丸、51年ぶりの新製品は「液体カプセルタイプ」におい抑えた「正露丸クイックC」

» 2017年03月15日 12時18分 公開
[青柳美帆子ITmedia]

 大幸薬品は3月15日、胃腸薬「正露丸」の新製品「正露丸クイックC」を発表した。1902年発売の丸剤「忠勇正露丸」、1966年発売の糖衣錠「セイロガン糖衣」以来、51年ぶりの新タイプの商品で、ブランド初の液体カプセル型を採用。発売は4月3日。プロモーションも本格的に実施し、新CMを5月から全国放映する。

「正露丸」新タイプの製品が登場。左から、マーケティング部佐藤由佳氏、柴田高社長

 止瀉薬(下痢止め薬)の国内市場は、大型新製品がなく2010年以降ダウントレンドにある。大幸薬品は「市場活性化のカギになるのは、市場が獲得できていない若年層。下痢になりやすい体質だが、止瀉薬未体験者が多い」と考えた。また調査の結果、消費者が止瀉薬購入時に最も重視するのは「効き目に即効性がある」「安心して使えること」であると分かったという。

 こうした背景から、若年層が手に取りやすく、「効き目が早い」「飲みやすい」イメージがある液体カプセルタイプの製剤を開発した。以前にもカプセルタイプの新製品は検討されてはいたが、正露丸特有のにおいを抑えることや製剤を安定させることに課題があった。医薬用ソフトカプセルなどを製造する東海カプセルの技術を活用することで、生薬「木(もく)クレオソート」がカプセルから素早く溶け出す製品が完成した。製品名の「正露丸クイックC」の「C」は、「care」「capsule」を意味している。

「効き目が早い」「飲みやすい」イメージがある液体カプセルタイプの製剤を開発

 5月から全国放送を始める新CMは、おなじみのラッパのテーマソングとともに「クイックにのめてクイックに溶ける」というキャッチコピーをアピールする。最も需要が高まる7〜8月に集中してスポット投下を行うという。

 「どんなところでも、お守りとして世界中で活躍する。体調が悪い時にお持ちいただければ不安も解消される。生活の質を上げる大きなアイテムになる。若者に必要な薬なのでぜひともトライしていただきたい」(柴田高社長)

 大幸薬品は「正露丸」「セイロガン糖衣A」を中心に医薬品事業を展開。売上高の8割近くは医薬品事業が占めており、中でも正露丸2ブランドは安定した柱となっている。新タイプの製品投下で、正露丸ブランド全体で、止瀉薬市場の50%シェア回復を目指す。海外展開も「既存商品を展開している中国、韓国、台湾、米国については、市場性と投入コストで優先順位を決めつつトライしていきたい」(柴田社長)という。

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