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» 2017年04月24日 07時00分 UPDATE

出版不況打破のカギ:集英社、講談社、小学館のデジタルマンガ戦略とは? (1/3)

出版不況が続く中で、重要性が高まり成長している電子書籍市場。特に伸びが著しいのはマンガだ。集英社、講談社、小学館といった大手出版社は、デジタルマンガを売るためにどのような戦略を立てているのだろうか?

[青柳美帆子,ITmedia]

 出版不況が続いている。2016年の日本出版市場は1兆6600億円(出版科学研究所調べ)。過去最高だった1996年の2兆6000億円から20年で、1兆円ほど縮小している。特に悪化しているのが雑誌の売り上げだ。

 定期刊行される雑誌は、かつては新人作家を発掘し、育てる場として機能していた。しかし現在、数多くの雑誌が休刊・廃刊・電子移行し、紙の雑誌が育成の場や読者へのタッチポイントとして有効に機能しなくなってきている。

 その一方で、新たに重要性が高まり、成長しているのが電子書籍市場だ。書籍に限ればまだまだ市場は小さいが、マンガは年間に30%以上の成長を続けている。紙のマンガ市場はやや下降したが、電子の増加分を含めると、昨年よりも増加したほどだ。

 中でも伸びが期待できるのは、スマートフォンでのマンガ閲覧。LINEの17年の調査によると、スマホでマンガを閲覧するユーザーは、ここ2年で51%増加し、急速に拡大しているという。

デジタルマンガ市場が成長している

 マンガ作品を数多く出版している出版社にとって、電子書籍は無視できない市場になっている。集英社、小学館、講談社といった大手出版社は、デジタル市場にどう立ち向かうのか。このほどLINEが開いた報道向けセミナーで、各社が戦略を語った。

スマホ上で存在感示せ

 「日本の電子書籍のビジネスは、デジタルコンテンツの中でも非常に優秀。ユーザーがコンテンツの価値を認めて、その価値に対してお金を払うのが根付いているから、収益が上がる」――そう語るのは講談社の吉村浩販売局次長。良質なコンテンツが存在している日本のマンガコンテンツは、電子化しても収益モデルを維持している。

 しかし、特にスマホで閲覧する電子書籍ストアでは、「面」が限られているという特徴がある。リアル書店では、出版社別や、ジャンル別に棚があり、新刊や既刊をアピールできるスペースが大手であれば確保されている。しかし電子ストアでは、ユーザーにアピールできるスペースは非常に小さい。

さまざまなキャンペーンを行い訴求

 「1冊1冊PRするのでは追いつかない。キャンペーンを行い、まとめて訴求することが重要になってくる。講談社では、『夏電書』『冬電書』『女子電書』『朝電書』とさまざまなキャンペーンを行った。そうしないと、スマホの画面上で作品の存在感を示せない」(吉村氏)

 同様の取り組みは、さまざまな出版社が行っている。例えば集英社は「デジタルマンガ祭」と称し、無料の試し読みタイトルをそろえた「春マン!!」「秋マン!!」などの取り組みを行っている。無料や値下げなどでユーザーに作品を周知し、そこからの続刊売り上げやまとめ買いを狙う。

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