集英社、講談社、小学館のデジタルマンガ戦略とは?出版不況打破のカギ(3/3 ページ)

» 2017年04月24日 07時00分 公開
[青柳美帆子ITmedia]
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デジタルでヒット作を作るために

 過去の作品を掘り起こす取り組みが功を奏している一方で、「描き下ろし」の流れも生まれている。

描き下ろし雑誌「モバフラ」は多くのユーザーに支持されている

 「小学館はもともと『デジタル上でどうやってヒット作を作っていくか?』を考えている。ガラケー時代に成功したのは『モバMAN』。雑誌形式で電子マンガを描き下ろすレーベルで、『ノ・ゾ・キ・ア・ナ』(本名ワコウ)は大ヒット作品になった。今は200ページを200円で配信するデジタル描き下ろし雑誌の『モバフラ』が好調で、多くの電子書籍ストアで1位を獲得している」(小学館の飯田氏)

 「毎日1話無料」などの仕組みがある電子書籍ストアやアプリには、定期的に集まるユーザーが存在している。“定期購読”を習慣化できれば、電子雑誌の媒体としての存在感が強まり、ヒットの土壌となる――というわけだ。

 「描き下ろしの雑誌やアプリ展開など、ヒットの方程式にはさまざまな手がある。デジタルが紙に近づいたのがここ10年のこと。これからは近づきつつも、紙とは違う売れ線が出てくる10年になるはず」(小学館の飯田氏)

 「デジタル向けに強い、新しい才能を発掘したい。今夏、LINEとともに少女漫画の新人大賞を実施する予定。ここで面白い作家が出てくれば、これまで集英社が出してこなかったレディコミジャンルの展開や、デジタルファーストのモデルが生まれるかもしれない」(集英社の鈴木氏)

 出版不況が続く中、起死回生の一打となる可能性を持つデジタルコミック市場。これからの各出版社の動向に注目が集まる。

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