「現場を誰よりも理解する」――カルビーのヒット商品を支えるリーダー、網干氏の仕事哲学とは?【前編】ビジネス変革の担い手

業績好調なカルビー。そのビジネス成長をけん引するのがシリアル食品「フルグラ」だ。なぜフルグラがこれほどまで売れているのか。そこにはリーダーとして頭角を現している一人の女性の姿があった。フルグラ事業本部において企画部 部長を務める網干弓子氏である。そのビジネス成功の裏には彼女のどのような仕事哲学があるのだろうか――。

» 2017年06月08日 10時00分 公開
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 自分の能力を仕事で発揮し、最大限の成果を残したい――。これはビジネスパーソンであるなら誰もが強く願うことだろう。当然ながら何かを成し遂げるには、タイミングや自身が取り組むビジネスに対する世の中のニーズなどがかかわってくる。しかし、それ以上に重要なのは、今までの常識や方法論にとらわれない、イノベーティブな発想ではないだろうか。

 そんなビジネス変革のロールモデルの1人と言えるのが、食品メーカー大手のカルビーに在籍する網干弓子氏である。実は彼女は同社が2006年に発売した新商品「Jagabee」の立ち上げメンバーとして販売を軌道に乗せた立役者の一人。現在はシリアル食品「フルグラ」を扱うフルグラ事業本部の企画部 部長として製造や営業など多くの部門を巻き込みつつ、経営側から与えられた高い目標の達成に奮闘する毎日だ。

 彼女はなぜこれほどの成果を残してくることができたのか。また、リーダーとしてチームを指揮する今、どんな哲学を持って仕事に向き合っているのだろうか――。

結果を出すための8年間

 人は誰しも、入社してすぐに活躍できるわけではない。山ほどある学ぶべきことを習得しながら、小さいながらも結果を出せるようになる。

 その意味で、「仕事で結果を出すための勉強期間」と網干氏が振り返るのが、新卒で入社した1997年から2005年までの8年間だ。大学の理系学部を卒業した網干氏は、まず工場の品質管理スタッフに配属。だが、翌年には当時では異例ながら2年目での本社の商品部(現マーケティング本部)に異動を命じられる。

カルビー フルグラ事業本部 企画部 部長の網干弓子氏 カルビー フルグラ事業本部 企画部 部長の網干弓子氏

 マーケティング担当となれば、当然、営業や製造、商品企画など、商品にかかわる多様な部署との連携が必須となる。だが、「工場勤務だった当時の私にとって、各部署の仕事や会社の仕組みを理解するのも一苦労。すべて一から学ぶ以外に手がなかったのです」(網干氏)というわけだ。

 ただし、「実は私、負けず嫌いなんです」という網干氏は、学ぶなら徹底する道を選ぶ。そこでの決意は、あらゆる部署に自ら出向いて、現場をより深く理解することであった。

 その原点とも言えるのが、工場で品質管理を担当していたときの実体験だという。

 「当社の使命は、より良い商品を届けて顧客に満足してもらうことにありますが、工場の現場ではロスを出してはいけない、と作業効率を重視する傾向がありました。多忙な現場業務の中で、細かな資料などいちいち確認していられないことを見据えて、例えば、顧客が望む品質をひと目で理解できるようなサンプルをみせるなどして、何のために品質が大事なのか?の理解を深めていただくことができました」

 このときの経験は、各部門との共通理解を育む術を学ぶ格好の機会になったのだという。

 網干氏はマーケティング担当になった際にも、営業担当者と同行して、小売店の陳列スペース作りを手伝うとともに、消費者の声に耳を傾けるなど、現場密着で取り組んだ。

 こうした中、網干氏が新たに誓ったのが、各部とのコミュニケーションを通じた“顧客本位”の考え方の浸透である。その大切さを共有できれば、マーケティングの観点から商品価値をより高められると判断したからだ。

共通理解を育む術が「Jagabee」を成功に導く

 この取り組みを進めるために網干氏は何をしたのか。

 「相手の立場を尊重しつつ、顧客本位の大切さを訴えることで、そのことを理解してもらうのにそう時間を必要としませんでした」と語るものの、各部門の社員とひざを突き合わせることもしばしばだった。

Jagabee Jagabee

 これらの積み重ねがいよいよ実を結ぶことになったのは、当時カルビーで約10年ぶりの新商品ブランドとなった「Jagabee」のマーケティング担当に異動した2005年からだった。網干氏はこの新商品プロジェクトで、商品のコンセプトやパッケージデザイン、販促方法などについて、現場での学びを基に、時には現場に出向いて積極的に考えを提示した。同時に、各部署の意見を顧客本位の立場からまとめ上げることに奔走した。

 その結果、Jagabeeでは、既存商品にはなかった個包装を開発したり、ブランドコンセプトを根付かせるためにあえて発売から数年間は商品ラインアップを広げなかったりと、1つの部署では成し得ないような取り組みを行い、部門の垣根を超えた売り方や店頭作りなどをチーム一丸となって実現した。その成果の大きさは、競争が激しいスナック菓子市場にあって、今なおJagabeeが店頭の定番商品の一角を占めていることからも容易に理解できるだろう。

 そんな網干氏は2011年から1年間、育児休養期間に入る。そして復帰後に配属が命じられたのがマーケティング本部のフルグラ事業部だった。

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