「未消化の有給休暇が多い」6割 新設研究機関が調査まとまった休暇取得が必要

» 2017年06月20日 10時00分 公開
[ITmedia]

 人材サービスのランスタッドは6月20日、日本の労働環境に関する調査研究機関「ランスタッド・リサーチインスティテュート(RRI)」を設立したと発表した。日本の労働問題をテーマにした調査、研究成果などを四半期ごとに公表する。第1回調査結果として発表した「休暇」に関する調査では、「未消化の有給休暇」「まとまった休暇の取りづらさ」に対する不満が多い現状が明らかになった。

photo 「未消化の有給休暇」「まとまった休暇の取りづらさ」に対する不満が明らかに

「働き手」に焦点を当てる

photo RRI設立を発表するランスタッドのカイエタン・スローニナ会長兼CEO

 RRIで実施するのは、「働く人」に焦点を当てた調査や研究。人材不足や働き方の多様化など、労働市場における変化や課題に対して、「『働き手』の声にこそ、いま日本が直面する労働にまつわる課題解決のヒントがある」(カイエタン・スローニナ会長兼CEO)と考えた。

 RRIでは今後、全国約1800人の労働者を対象にした勤務先の景況感に関する定点調査や、毎回異なるテーマで労働者のニーズを明らかにする調査などを四半期ごとに実施する。その結果を広く発信するとともに、ランスタッドの企業向け人材サービスにも活用していく。

有給消化、まとまった休暇取得ができていない

 第1回のテーマ調査は、「休暇」に対する労働者の意識について。全国の20〜69歳の労働者約1800人を対象に、休日の「満足度」、休暇の取りやすさに関わる「仕事の状況」、休日の活動に関する「目的、重視点」を調査した。

 年間休日数に対する満足度は、「満足」「やや満足」が35.8%、「不満」「やや不満」が32.0%と、満足している層が不満を持つ層をやや上回った。業種別にみると、「公務」「製造業」で満足度が高く、「学術研究、専門・技術サービス業」「運輸、郵便業」「医療、福祉」で満足度が低い傾向がみられた。性別・年代別では、20代女性の満足度が低い傾向だった。

 仕事の状況は、「未消化の有給休暇が多い」「まとまった休暇が取りにくい」「フレックスタイム制や在宅勤務など勤務時間・勤務形態の自由度がない」の3項目に対し、「あてはまる」「ややあてはまる」を選んだ人が多く、それぞれ5割以上。「未消化の有給休暇が多い」に関しては、約6割に上った。

 休日数に対する満足度と合わせて仕事の状況を見ると、満足度が低い層では、「未消化の有給休暇が多い」「まとまった休暇が取りにくい」を選択した割合が8割を超えた。また、満足度が高い層でも、45.8%が「未消化の有給休暇が多い」を選んでいた。

 休日に重視することは、「体を休める」「家族との時間を楽しむ」「ストレスを発散する」といった項目を選択する人が多く、「休日数が現在より1割増えたとしたら」と仮定しても、重視する項目に変化は見られなかった。

 結果を発表したRRIの松井隆所長は「企業は、休日数だけではなく、まとまった休暇の取りやすさやフレキシビリティを打ち出すことが必要」と指摘した。

photo 休日数に対する満足度別に見た仕事の状況(ランスタッドのニュースリリースより)

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