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» 2017年09月29日 07時30分 公開

銭湯を盛り上げたい:バスクリン若手社員が立ち上げた「銭湯部」の効能 (1/4)

入浴剤の老舗メーカーのバスクリンで若手社員が立ち上げた部活動「銭湯部」。廃業によって減っている銭湯を「盛り上げたい!」という思いから始めた活動だが、社内の世代間交流促進にもつながっている。その取り組みについて、仕掛け人に聞いた。

[加納由希絵,ITmedia]

 入浴剤を入れたお風呂でリラックスして、疲れた体を癒やす――。そんな習慣がある人は多いだろう。家庭用の風呂で使われることが多い入浴剤だが、広まったきっかけは「銭湯」にあることをご存じだろうか。

 日本の風呂文化の象徴であり、入浴剤の原点の場所でもある銭湯は、家庭用風呂の普及とともに減っていく傾向にある。この20年でその数は約4分の1になった。その状況に対して立ち上がったのが、入浴剤の老舗メーカー、株式会社バスクリンの高橋正和さんだ。2015年4月に公認部活動「バスクリン銭湯部」を立ち上げ、銭湯を盛り上げる活動に取り組んでいる。

 銭湯部は、老舗メーカーのさまざまな時代を知る社員から若手社員にノウハウや知恵を伝承する場にもなっているという。銭湯を拠点とした高橋さんの挑戦に迫った。

photo 「バスクリン銭湯部」の活動の様子。世代や職種を越えた交流の場になっている(バスクリン銭湯部提供)

原点回帰から始まった

 高橋さんは転職組だ。12年にベンチャー企業から転職してきた。担当しているのはダイレクトマーケティング。化粧品や育毛剤、介護向け入浴剤など、新しい領域の販促に携わる。その仕事に打ち込む中でよく考えてきたのが会社の歴史だった。新しい領域の商品であっても、その開発には会社の伝統や理念について理解することが必須だからだ。

 会社の歴史をさかのぼると、前身の津村順天堂(現ツムラ)時代の1897年(明治30年)に、日本初の入浴剤「浴剤中将湯」を発売。婦人薬「中将湯」を製造する際に出る残渣(ざんさ、生薬の残った部分)を社員が持ち帰って風呂(当時はたらい)に入れてみると、湿疹がよくなったり、体があたたまったりしたことから、商品化した。まだ風呂がある家が少なかったことから、販売先は銭湯であり、入浴剤の効果や評判は銭湯で広まった。

 銭湯は日本の風呂文化とともに、入浴剤の歴史の一端も担っている。しかし、家庭用風呂の普及や設備の老朽化、担い手不足などによってその数は減少を続けている。高橋さんは「バスクリンの原点の場所に元気がないのは寂しい。銭湯を盛り上げたい」という思いから、何かに取り組もうと考えた。

 その思いをどう表現したらいいか。他の老舗メーカーの事例などを参考にしながら考え、行き着いたのが社内部活動だ。会社には、スポーツや文化活動などに取り組むための部活動制度がある。「制度を活用すれば、クラブの発足はすぐにできる。まずは今できることから始めよう」と「銭湯部」を立ち上げた。

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