ホイッスルで世界に立ち向かう、「小さな会社」の勝算来週話題になるハナシ(1/5 ページ)

» 2017年11月30日 08時05分 公開
[藤井薫ITmedia]

 1912年に北大西洋で沈没した豪華客船タイタニック号。2200人を超える乗客乗員のうち、1500人ほどが死亡するという悲惨な沈没事故だった。

 その事故で生き残った人たちを救う手助けをしたと言われるのが、乗員たちが持っていた英国製のホイッスルだった。ピー(豆)と呼ばれるコルクなどの球体が入っている、そのホイッスル(笛)を開発したのは英国バーミンガムのメーカーで、現在ではアクメ社という名でホイッスルを作り続けている。同社のピーホイッスルは、世界中のスポーツ会場で今も活躍している。

 そんな古い歴史を持つホイッスル企業に今、果敢にも立ち向かおうとしている日本の小さな会社がある。埼玉県にある社員が9人ほどしかいない楽器部品メーカー、小柴製作所だ。

 同製作所は、日本の「ものづくり文化」に裏付けされたクオリティーを引っ提げて、ホイッスル業界に乗り込んでいる。2019年に日本で開催されるラグビーのW杯に照準を定めて、アクメ社のようなホイッスルメーカーをおさえて公式ホイッスルの座を勝ち取るべく、動き出しているのだ。

 近年、自動車部品大手のタカタ、自動車メーカー大手の三菱自動車や日産自動車、電機大手の東芝、さらに鉄鋼大手の神戸製鋼所など、世界的にジャパンクオリティの評判が傷ついている。そんな「日本のものづくり」への目が厳しくなりつつある現状の中で、世界的なホイッスル企業に挑む小柴製作所に、どれほどの勝算があるのか迫ってみたい。

小柴製作所のホイッスルはどのような特徴があるのか
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