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» 2017年12月01日 07時30分 公開

黒字転換なるか:ラーメンからステーキへ 幸楽苑、立て直しへの3つの戦略

上場以来初の赤字決算が見える幸楽苑ホールディングス。「既存店対策」「出店戦略」「新業態転換」で立て直しを狙う。

[青柳美帆子,ITmedia]

 ラーメンチェーン「幸楽苑」を展開する幸楽苑ホールディングス(HD)が激動している。上場した1997年以来初の赤字決算の見通し。立て直しのために「経営資源の選択と集中」を掲げ、赤字店舗の「いきなり!ステーキ」への業態転換など思い切った策を打った。

経営資源の選択と集中を掲げる幸楽苑HD

 幸楽苑HDに打撃を与えたのは、2016年に「幸楽苑」で発生した異物混入事故だ。負傷した従業員の指が商品に混入し、大きな話題となった。外部専門家を入れた再発防止対策委員会を発足し、安心・安全対策を強化したものの、店舗への悪影響は避けられなかった。赤字店舗が増加したことから、52店舗の閉鎖を決めた。

 「赤字店比率を改善するためのさまざまな対策が軌道に乗ったタイミングで、異物混入事故が発生した。抜本的な安心・安全対策を行い、時間と経費を投じたが、知名度のない店舗を中心に大きな影響があった。赤字店舗を閉じるのは苦渋の決断だが、25億円の売上高が減少すると同時に、4億円の赤字が消えることになる」(新井田傅社長)

 18年3月期(17年4月〜18年3月)の通期連結業績予想は、売上高388億1900万円(前年比2.6%増)、営業利益2000万円(86.0%減)、純損失は6億7400万円(前期は15億4000万円の黒字)。下期は再飛躍のための期間とし、(1)既存店対策、(2)出店戦略、(3)新業態転換で黒字転換を狙う。

 既存店対策では、労務環境の改善やスタッフの充足率を上げ、客の満足度を上げるための組織改革を行う。店舗の運営や教育をサポートする部署を新設するほか、現場の意見を吸い上げやすい組織構造に変える。また、従来の地域メニュー注力方針から、コア商品のブラッシュアップ方針へと切り替える。

 「幸楽苑」は新規出店によって成長してきたが、西地区(静岡以西)では苦戦。店舗営業利益は東北・関東地区の1.7億円の黒字に対し、西地区は2000万円の赤字だ。新井田社長によると「西地区への出店を進めるにつれ、赤字店舗が増えていった。ラーメンは実は地域性の密度が濃い。スープの好みや麺の細さや太さなど、好まれるものが地域によって違う。西地区は違った商品を開発しないと難しい」といい、当面新規出店は知名度の高い東北・関東地区に絞るとした。また店舗形態も、必要人員が少なく営業利益率が高い「コンパクト型」を原則とする。

西地区で苦戦

 最も注目されているのが新業態転換だ。幸楽苑HDは10月、ステーキ店を展開するペッパーフードサービスとフランチャイズ契約を締結。閉店する不採算店舗のうち数店をペッパーの「いきなり!ステーキ」に業態展開すると発表した。12月21日には、業態転換1号店として「いきなり!ステーキ 福島太平寺店」(福島市)をオープンする。

「いきなり!ステーキ」への業態転換

 なぜラーメン店がステーキ店へと変わるのか。新井田昇副社長は「『いきなり!ステーキ』はもともと都心型のビジネスだが、ここ最近郊外にも広がっている。郊外の店舗を見ると、幸楽苑と客層が非常に重なっている」と説明。その上で「ラーメンとステーキでは、商品特性が180度違う。自社競合を回避し、店舗を展開していける」とシナジーを語った。エリア内でのカニバリゼーションを防ぐとともに、ラーメンで苦戦している地域での成長を図るというわけだ。

 現在は「いきなり!ステーキ」の店舗で幸楽苑HDの社員が研修を受けているが、今後出店が増えていくにあたり、幸楽苑HD内部での事業部立ち上げや、教育体系の構築も視野に入れる。新井田副社長は「会社を大きく変革するきっかけになると確信している」と自信を見せた。

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