「MVNO(仮想移動体通信事業者)市場では買収・破綻が相次いでおり、これから生存競争が加速するだろう。その中で、われわれはオンリーワンの存在として勝ち残りたい」――MVNO「mineo(マイネオ)」を運営するケイ・オプティコム モバイル事業戦略グループの上田晃穂グループマネージャーはこう話す。
現在、mineoの契約数は、MVNO市場4位となる約90万回線。今後も順調に伸び続け、3月末にも、14年の参入当初からの目標である100万回線に達すると予測されている。
成長の背景にあるのが、ユーザーを大切にする姿勢だ。mineoは「圧倒的ファンファースト」をコンセプトに掲げ、ユーザーと密接なコミュニケーションを取ることを重視している。
具体的には、ユーザー向けコミュニティーサイト「マイネ王」を運営し、サービス内容をユーザーがレビューできるコーナー、Q&Aコーナー、ユーザーが運営側に新アイデアを提案できるコーナーなどを設置。ユーザーの意見を新サービス考案などにつなげている。
昨秋には、運営側とユーザーが直接対面する“オフ会”の「mineo Green Party」も開催。こうした姿勢が奏功し、Y!mobileやUQ mobileなど、大手キャリア(携帯電話事業者)のサブブランド台頭後も「ユーザーの流出を比較的防げている」(上田氏、以下同)という。
2017年7〜12月に1.1%と低い解約率を記録したmineoは、解約率のさらなる低下と新規ユーザーの獲得を図るため、新たな施策を打ち出す。その目玉となるのが、mineo初となる国内版SIMフリー「iPhone」への対応だ。
同社は2月15日に「iPhone 7」(128GB:7万8000円/256GB:8万7600円)と「iPhone 7 Plus」 (128GB:8万9400円/256GB:9万9600円)を発売する(価格は全て税別、以下同)。
現在iPhoneを使用しているmineoユーザーは、かつてキャリアと契約しており、mineoへの乗り換え時にSIMロックを解除した人が多いという。今回正式に取り扱うことで、ユーザーの満足度向上と端末の買い替え促進を図る。
ただ、Apple Japanではなく代理店を通して調達するため、当初の在庫は数百台程度という。「今後も継続的に調達し、ユーザーのニーズに応えたい」としている。
中国Huawei Technologies製のタブレット「HUAWEI MediaPad M3 Lite」(2万9400円)も2月15日に発売し、ラインアップを拡充する。
データ残量の確認などが可能なスマホアプリ「mineoアプリ」(iOS/Android)も3月末にリリースする。「マイネ王」やオフ会で、ユーザーからの要望が多かったためだ。
余ったパケットを友人・知人と分け合える「パケットギフト」、ユーザー同士で余ったパケットを共有できる「フリータンク」――といったおなじみの機能もアプリから利用可能にする。
位置情報を活用し、近くにmineoユーザーが存在する場合に特典として10MBのデータ通信量を付与する「mineoレーダー」などの独自機能も実装する。
こうした“顧客ファースト”の施策以外に、mineoはどのような成長戦略を持っているのだろうか。上田氏は「『FREETEL』を買収した楽天のように、当社が他のMVNOに対してM&A(企業合併・買収)を行う可能性もゼロではない」と明かす。ただ、具体的な社名については明言を避けた。
楽天は17年末、MNO(移動体通信事業者)として携帯電話事業を始めることも発表しているが、上田氏によると「mineoもキャリア参入を検討した」という。しかし、「基地局への投資額が多すぎ、勝機を見いだすことが難しいと判断したため見送った」としている。
また、「ターゲットを学生に限定したキャンペーンを打つメリットがあまりないため、現時点では『学割』を提供する予定はない」とした。
さらなる認知度向上を目的に、1月19日からは女優の葵わかなさんが出演するテレビCMの新バージョンも放映予定。上田氏は「NHKの朝ドラ『わろてんか』のヒロインに抜てきされた葵さんを引き続き起用することで、mineoも良い流れに乗りたい」と意気込んだ。
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