「72時間ホンネテレビ」成功のAbemaTV、次に注目するのは「恋愛」着実にベースアップ

» 2018年01月25日 18時50分 公開
[青柳美帆子ITmedia]

 サイバーエージェントが注力するインターネットテレビ事業「AbemaTV」。藤田晋社長は2017年度に引き続き18年度も先行投資期とし、「売り上げも制作費もパンプアップし拡大を狙う」と200億円を投じる。17年に大きな注目を集めたのは、11月に放送した元SMAPのメンバー3人が出演したオリジナル番組「72時間ホンネテレビ」だ。どのようなインパクトがあったのか、1月25日の決算会見で藤田社長が語った。

17年11月放送の「72時間ホンネテレビ」の効果は?

72時間ホンネテレビの効果は?

 サイバーエージェントの18年9月期第1四半期(17年10〜12月)の連結業績は、売上高979億円(前年同期比13.1%増)、営業利益82億円(29.8%増)、純利益23億円(78.1%増)。好調が続く広告事業と、大きな収益を生むゲーム事業を柱にしつつ、AbemaTVへの投資に力を入れている。アプリのダウンロード数は2600万件を超えた。

業績は好調。広告事業は売上高・営業利益ともに過去最高を更新した
大きな柱の1つであるゲーム事業は減収。17年リリースの「バンドリ! ガールズバンドパーティー!」は好調だが、新規タイトルのヒットを待つ。第2四半期は周年イベントの開催が続き、増収を期待する

 「72時間ホンネテレビ」は、満を持して繰り出された“目玉番組”。累計視聴者数は3日間で7400万人を突破し、藤田社長は「大きな話題を呼び、AbemaTVの知名度を上げてくれた」と振り返る。

 同番組効果で、11月は月間アクティブユーザー数(MAU)1117万人、週間アクティブユーザー数(WAU)729万人と過去最高を記録した。AbemaTV単体の広告売り上げ(金額は非公開)にも寄与したといい、予想通りのインパクトを生み出した。「12月もMAU1007万人、WAU543万人。特番で大きな話題を作りつつ、レギュラー番組で底上げを図る考え方。WAU1000万人を目指して着実にベースアップしている」(藤田社長)という。

AbemaTVのMAUとWAU推移

藤田社長が注目する「恋愛」ジャンル

 ベースアップのために藤田社長が注目するジャンルは「恋愛リアリティーショー」だ。10代の男女の恋愛模様を描いたバラエティ番組は、10〜20代の女性からの支持を集めている。「10〜20代は『草食』になったと言われているが、頭の中はかなり恋愛で占められている」と藤田社長は感触を語り、第2四半期は「真冬のオオカミくんには騙されない」「今日、好きになりました」など4本のレギュラー恋愛番組を投入する。

女性視聴率を増やし“底上げ”に寄与している恋愛リアリティーショー
ラインアップを強化する

 運営するマッチングアプリ「タップル誕生」とのシナジーもある。タップル誕生は会員数300万人を突破し、iOS・Google Playの合計収益ランキングでマッチングアプリ国内1位となっている。AbemaTV内でもマッチングアプリをテーマにした恋愛ドラマやバラエティを制作する構想もあるといい、AbemaTV視聴者が望む「恋愛もの」充実と「タップル誕生」の広告効果、両者を狙う考えだ。

 AbemaTVは現在、広告モデルと有料会員モデルで収益化を目指している。さらに2月1日からは、ショッピング番組「売れるAbemaTV社」もスタートし、EC収入の拡大も図る。藤田社長は「いろんな収益モデルを試している段階。うまくいったものを伸ばしたい」と狙いを話した。

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