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» 2018年02月05日 13時13分 公開

廃棄ゼロを目指して:恵方巻きの大量生産「もうやめに」 発信したスーパーの思いを聞いた

恵方巻きの大量廃棄が問題視される中、兵庫県のスーパー、ヤマダストアーの折り込みチラシが話題に。「もうやめにしよう」と銘打ったメッセージを発信した意図を聞いた。

[加納由希絵,ITmedia]

 2月3日の節分、コンビニやスーパー、百貨店などで大量に販売された恵方巻き。同日の夕方、百貨店の地下食品売り場に立ち寄ったところ、和洋中、どんなジャンルの総菜店でも、色とりどりの恵方巻が並んでいた。

 しかし、節分が終わると大量廃棄も話題になる。そんな流れに一石を投じたのが、兵庫県姫路市を中心に展開するスーパー、ヤマダストアーの折り込みチラシだ。

 同社は2月1日、恵方巻きなどの特売情報を掲載したチラシの中に、「もうやめにしよう」と銘打ったメッセージを掲載。大量廃棄が出ないように、前年実績に基づいて恵方巻きを作ることを宣言した。このチラシに、SNSなどで共感の声が上がっている。同社に、メッセージに込めた思いを聞いた。

photo 恵方巻きを前年実績で作ることを宣言したヤマダストアーの2月1日のチラシ(出典:ヤマダストアーのFacebookページ)

6店舗で売り切った

 チラシでは、「売上至上主義、成長しなきゃ企業じゃない。そうかもしれないけど、何か最近違和感を感じます。」と、問題意識を投げかけている。海産資源が減っていることを踏まえ、売れ残りがないように恵方巻きを作ることを宣言。「売れ行きに応じて数を増やすことを今年は致しませんので、欠品の場合はご容赦くださいませ」と伝えている。

 ヤマダストアーは、経営において重視することの1つに「地球環境の保全」を掲げ、持続可能な店舗運営を目指している。近年の恵方巻き商戦の盛り上がりに対して、「過熱していると思っていた。止めたくても止められない流れになっている」と感じていたという。今年は社内で議論した結果、必要でない量は作らないことを決めた。

 以前から需要に応じた販売を目指しているが、恵方巻きに関してチラシでメッセージを発信したのは初めて。「売り切れてしまうと苦情をいただくこともあったため、チラシを打って発信した」という。

 当日は全8店舗のうち2店舗では「多少の廃棄が出た」ものの、他の6店舗は完売。前年並みの実績だった。

 チラシによる発信はSNSで広まり、「感心した」「頑張れ」「こんな企業がもっと増えればいいのに」といった意見が見られた。また、同社の本部にも電話で意見が寄せられ、「お褒めの言葉をいただいた」という。「消費者の方が潜在的に持っていた不満や、『違うのでは?』という気持ちが顕在化するきっかけになったのでは」と担当者は話す。

photo 通常の折り込みチラシの中でメッセージを発信した(出典:ヤマダストアーのFacebookページ)

 同社は2017年3月、不漁だった「生いかなご」の販売休止を決断。その際もチラシで告知し、話題になった。毎年3月に売れ筋商品となる生いかなごを販売しない、というのは、売り上げや顧客サービスにも大きく影響する可能性がある。それでも、資源の保護を優先した。

 「海産資源の減少に対して、知識を持ち、理解している方は増えている」(同社)。私たちが口にするものはどこから来ているのか。将来食べられなくなるものもあるのではないか。消費者も立ち止まって考えることが求められている。

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