インタビュー
» 2018年02月14日 07時40分 公開

“家事代行のイマ”を聞く:家事代行サービスは「家事をしすぎている日本女性」を救えるか? (1/3)

家事をしすぎている日本女性。家事の負担は社会進出が進む女性の“重石”となっている。対応策として期待されている「家事代行サービス」のイマをCaSyの加茂雄一CEOに聞いた。

[青柳美帆子,ITmedia]

 日本の女性は家事をしすぎている。女性の社会進出は進んでいても、家事の時間は15年間でほとんど減っていない。しかも負担の男女差は1:5と非常に大きく、「共働きでも夫は家事をせず、妻ばかりが家事をしている」という状態。子育て世帯の国際比較を見ると、日本の男性の家事分担率は世界最下位だ。

 政府は「女性活躍」を推進しているが、家事の負担は活躍を妨げる大きな“重石”の1つ。その対応策として注目されているのが家事代行サービスだ。家事代行サービス「CaSy(カジー)」を運営するCaSyの加茂雄一CEOに、日本の家事代行のイマを聞いた。

日本女性の家事の時間はほとんど変わっていない。男女差も大きく、日本女性は家事を「しすぎている」状態だ(2016年社会生活基本調査より)

「逃げ恥」効果は?

 2016年には家事代行サービスをきっかけに出会った男女が契約結婚をするドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」が大ヒット。監修を行ったベアーズでは、スタッフに応募する人が増えたなどの効果があったという。加茂さんも「『逃げ恥』効果はあった」と語る。

 「ドラマ開始当初と最終回のタイミングを比較すると、申し込みは1.5倍ほどになりました。家事代行サービスの存在を知らない方や、興味を持っていたが踏み切れなかった方に、初めの1回を利用してもらうきっかけになりました」

 とはいうものの、まだまだ家事代行を使ったことがある人は多くはない。利用の壁になっているものはなんだろうか。加茂さんによると、男性と女性で理由が異なる傾向があるのだという。

 「男性……特に1人暮らしのビジネスパーソンの場合、『自分の時給』を考える方が多いようです。CaSyは1時間2,000円台のサービスなので、自分の時給や自分でやった場合の手間やクオリティーを比較・検討し、割に合うと思ってもらえれば利用していただけます。女性の場合は、『家事は私がやらなければいけない』という責任感や、『家の中に知らない人を入れたくない』という感覚によって、ニーズはあっても利用に至らないことがありますね」

 中には“夫ブロック”が発生するケースも。家事を妻に任せきりにしている夫が、自分でやらないために家事の大変さを分からず「家事なんて簡単。すぐにできることに2000円以上掛かるのは高い」と妻の要望を却下することもあるのだという。

 しかし加茂さんは「かつては介護も家の中だけで行われていましたが、少しずつプロの手を借りることが一般的になっていきました。周囲が家事代行を使うようになっていけば変わっていくはずです」と希望的だ。日本での家事代行サービスの利用率は2%未満にとどまるが、女性の社会進出が進んでいるシンガポールでは25%以上。日本もシンガポールのように変わっていく可能性はある。

CaSyの加茂雄一CEO

自身の経験から生まれたサービス

 CaSy自体、加茂さんの経験から生まれたサービスだ。

 加茂さんは公認会計士として働き、100社以上のベンチャー企業を見ていく中で「世の中のためになるサービスを作りたい」と考えるようになった。ビジネススクールに入り、新規ビジネスプランをチームで考える授業を受けた。その時、たまたま同じテーブルに座り、チームを組んだ相手――池田裕樹さんと胡桃沢精一さんの3人で、のちにCaSyを創業することになる。

 「池田と胡桃沢と一緒に、徹夜でビジネスプランを数百個考えました。念頭にあったのは『自分たちが一番欲しいサービスがいい』。僕たち3人は偶然同年代で、結婚していて、共働きでした。平日は深夜まで仕事をしていて家事をする時間がなく、家事は土日に分担して片付けてはいるけれど……そんな日々を送っていたんです」

 共働き家庭での家事の負担は大きい。3人に共通していたのは、家事代行サービスの利用経験があるということだった。加茂さんの場合、家事を任せきりにしていたが、妻の妊娠を機に家事をするようになる。

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