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» 2018年02月19日 06時00分 公開

宇宙ビジネスの新潮流:人類は再び月へ 発表されたNASAの予算案とは? (1/2)

米国連邦政府の予算教書で、NASAの今後の計画が見えてきた。今回は2022年から始まる月周回軌道上の居住基地建設、23年の有人月近傍ミッションなど目玉となるプロジェクトを紹介したい。

[石田真康(A.T. カーニー),ITmedia]

 2月12日発表された米国連邦政府の予算教書(議会に対して提出する予算案の編成方針)で、米国航空宇宙局(NASA)の今後の計画が見えてきた。今回は、2022年から始まる月周回軌道上の居住基地建設、23年の有人月近傍ミッションなど目玉となるプロジェクトを紹介したい。

アポロ以来初の有人月近傍ミッション

 2月12日、米国のトランプ大統領は連邦政府の予算教書を発表、この中でNASA予算の要求額は総額199億ドルで、18年度要求額より4%ほど増加した。特徴的なのは、有人月探査およびその先の火星探査につながるミッションに注力するために、全体の半分以上となる105億ドルが探査に割り振られている点だ。

 核となる深宇宙探査システムの予算は約46億ドルになる。従来開発がされてきた大型ロケットの「SLS」や有人宇宙船「Orion」に継続予算が付くとともに、これらを活用して、20年に初打ち上げが行われ、その後23年に計画される「EM-2」というミッションは、1972年の「アポロ17」以来の有人月近傍ミッションとなる。

火星に行くための中継基地を月に作る

 また、今回初めて「Lunar Orbital Platform-Gateway」というプロジェクトに予算が付いた。これは従来NASAが「Deep Space Gateway」と呼んでいたコンセプトで、月周回軌道上に居住基地を設置する計画だ。同居住区は研究目的や商業組織による月探査などにも使われるとともに、将来的には火星探査のための中継基地として使うことが想定されている。

Deep Space Gateway(出典:NASA) Deep Space Gateway(出典:NASA

 中継基地を建設するためのモジュールは何回かに分けて打ち上げしていくが、最初のモジュールが22年に打ち上がる予定であることも発表された。これら以外にも、月での大規模ミッションのための無人探査技術への投資や、そのための民間企業との連携なども掲げられており、これら多様なプログラムを通じて、月周辺での米国の優位を確立することが大きな方針として示されている。

SpaceXも月探査・開発に興味

 民間企業も月への関心を持っている。例えば、先日大型ロケット「ファルコンヘビー」の打ち上げ成功で世界中の注目を集めたSpaceXは、17年9月の段階で将来コンセプトとしてBFR(Big Falcon Rocket)という輸送システムを発表している。同社が開発してきたロケットエンジン「ラプター」が31機搭載される第1段ブースターと宇宙船で構成され、全体で106メートルの長さになる超大型ロケットだ。

 同社はBFRを活用して、(スケジュール通りに進むかは不透明だが)22年には火星に向けて2機の無人飛行を、24年には搭乗員を乗せた有人飛行を行う計画だ。BFRには8階分の居住区画があり、40の客室を備える。その収容力はエアバスA380の客室よりも大きく、火星飛行の場合には100人程度を輸送可能だ。このように同社の究極の目標が人類の火星移住にあることは明白だ。

 他方で、昨年のルクセンブルクで行われた宇宙カンファレンスで、同社のショットウェル社長はBFRの開発に対する政府支援を期待するとともに、BFRが火星探査の前に月着陸ミッションに使われる可能性を示唆するなど、月探査・開発をまず行い、その先に火星を目指すNASAのロードマップと歩調を合わせるコメントも出しているのだ。

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