ネット上で同様のことを主張する外国人はちょいちょいいる。例えば、ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社のロッシェル・カップ社長も、日本の金融機関で働いていた時期に見た異動や出向が、米国人のご自身からみるとまったく理にかなっていないとして、「日本企業を弱体化させる人事異動制度」(2015年2月17日)というブログをハフィントンポストへ寄稿している。
また、海外で生活されている日本人の中にも似たような意見をおっしゃる方は少なくない。ドイツ在住ジャーナリストである高松平藏氏もそのおひとりで、『ドイツの公務員は「人事異動」がほとんどない 日本社会は公務員の異動で「損」をしている』(2017年4月5日 東洋経済オンライン)という記事を書いている。
なんて話を紹介すると、必ずといっていいほど「欧米か」とツッコミをする人々があらわれる。隣の芝ってのは青く見えるものであって、なんでもかんでも白人の猿真似をしてもうまくいかん、というお叱りが全方向から寄せられるのだ。
確かに、人事・雇用というのはその国の労働観、ひいては人生観にもひもづくものであり、海外のシステムをそのまま日本に持ち込んだところで機能はしないだろう。
ただ、その一方で、いろいろな方たちが疑問を呈する「定期人事異動」というシステムがいまの日本社会でビタッとフィットして、うまく機能しているのかというと、そうとは言い難い現状もある。例えば、定期人事異動のメリットとしてよく挙げられる以下の3点だけに絞っても、かなり厳しいことになっている。
(1)いろいろな職場や仕事を幅広く経験することでゼネラリストが育成できる
(2)マンネリ化を防いで組織が活性化する
(3)ひとつの部署に長くとどまらないので腐敗・汚職を防ぐことができる
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