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» 2018年04月09日 06時30分 公開

池田直渡「週刊モータージャーナル」:CX-5に気筒休止エンジン登場 (1/4)

マツダはCX-5の商品改良モデルを発売した。改良の中心はエンジンだ。新たに世界統一基準とするべくスタートした燃費基準、WLTPへの対応である。

[池田直渡,ITmedia]

 マツダは3月8日にCX-5の商品改良モデルを発売した。改良の中心はエンジンである。新たに世界統一基準とするべくスタートした燃費基準、WLTP(Worldwide harmonized Light vehicles Test Procedure)への対応だ。

年次改良で主にエンジンに改良が加えられたCX-5。ディーゼルとガソリン両方に大幅に手が加えられた 年次改良で主にエンジンに改良が加えられたCX-5。ディーゼルとガソリン両方に大幅に手が加えられた

 ディーゼルエンジンについては、すでにCX-8に採用された2018スペックのユニットに刷新された。これまでのCX-5用ユニットとの大きな違いは2つあり、1つはインジェクションの超高応答化、もう1つは2ステージターボの高速側の可変ジオメトリーターボ化である。

 インジェクターの高応答化によって、5回に分けて燃料を吹くタイミングをより高精度にできるようになり、従来、散発的に3つに分かれていた燃焼圧のピークをおおむね1つにまとめ、ピーク値そのものも下げることに成功した。これによってエンジンの静粛性が上がり、同時にレスポンスも向上している。(参照記事:マツダCX-8 重さとの戦いを制した3列シートの復活

新搭載の気筒休止システム

 しかし、今回最も注目されるのは、気筒休止システムが搭載された2.5リッターのガソリンユニットである。年配者の中には懐かしく感じる人もいるだろうこのシステムは1980年代に新技術としてもてはやされた仕組みであり、基本的には、高速道路の巡航など低負荷運転領域で気筒を休止することで燃費を良くするシステムだ。

 つまり、ダウンサイジングターボが得意としていた領域の改善が図られている。エンジンのあらゆる負荷領域で燃費を改善しようとすれば燃焼の抜本的な改革をするのが最も正道だ。マツダはそういう道を選択してきたが、ダウンサイジングターボには1つだけ極めて得意なシチュエーションがあり、低負荷のクルージングという場面に限って言うと、そこだけはダウンサイジングターボに利があった。

 その領域でも勝てないか? というわけで採用したのが、この気筒休止システムである。ダウンサイジングターボは負荷が頻繁に変わると途端に燃費が悪くなる。つまり低負荷領域のスペシャリストである。だったらそこでも打ち負かしてしまえば、完全勝利であり、長らく積み重ねられてきた試験の限られたモードでの燃費向上技術ではなく、リアルワールドで乗って燃費が良いエンジンになるのだ、というのがマツダの主張である。

気筒休止システムを搭載するSKYACTIV-G 2.5。エンジンの外観の違いはごくわずかである 気筒休止システムを搭載するSKYACTIV-G 2.5。エンジンの外観の違いはごくわずかである

 このSKYACTIV-G 2.5の場合、4気筒の内両端の2気筒が休止する。2.5リッターエンジンの半分が休止すれば1.25リッターになる。だから燃費が良くなる。というのは半分正解だが、それだけでは満点がもらえない。

 ポイントは熱だ。排気ガスはマフラーから吐き出されるとき、まだ温度が高い。つまり熱エネルギーが残っている。これを捨ててしまえば当然損失になる。だから排気量を減らして排気ガスの量を減らせば当然損失が減る。熱と言えば冷却水を介してラジエターから捨てられる分もある。より多くのシリンダーに分散して燃焼が行われれば、表面積が増えた分だけ熱損失は増える。つまり、稼働するシリンダー数を減らし、同時に排気量を落とせば熱効率が向上する理屈だ。

 だったら最初から2気筒にしておけば……と考える人もいるかもしれないが、それだと加速や登坂で力が必要なときに苦しくなってしまう。ドライバビリティを犠牲にせずに燃費を良くしたければ、低負荷域でのみ気筒休止する仕組みの方が理にかなっている。特にWLTPでは頻繁な急加速がモードに織り込まれているため、その加速と低負荷時の燃費を両立させる必要がある。そうしたニーズを満たすためには気筒休止は都合が良いのである。

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