化学兵器疑惑のシリア政権、欧米の報復受けても優勢の訳士気喪失(3/4 ページ)

» 2018年04月24日 18時01分 公開
[ロイター]

<民間人の避難>

一時は東グータ地区で最大の反体制派グループだった「ジャイシュ・アル・イスラム」は、ドゥーマ防備を徹底的に固めたと主張していた。政権側が奪還を試みれば大きな犠牲を伴う、という意味だ。

また同グループは、内戦中に建設した兵器工場があるため、持ちこたえられるとしており、市民への食糧供給も1年間は問題ないと述べていた。

4月7日の攻撃に先立つ年月のあいだに、すでに何十万もの住民がこの地域から退避していたが、まだ数万人が残っていた。

ロシア軍当局者との交渉のなかで、「ジャイシュ・アル・イスラム」側は、ロシア側の憲兵隊を市内に受け入れつつシリア軍の立ち入りは拒否し、同グループ戦闘員は地元の治安部隊として留まることを認めるという合意を求めていた。

前述の同組織幹部によれば、化学兵器使用が疑われた攻撃の2日前までは、ロシア側が新提案を検討すると約束しており、協議は順調に進んでいるように思われたという。

だが、攻撃の翌日にロシアが示した回答は「化学兵器による新たな攻撃か、シリア北部への撤退か」という脅迫だったという。

その日の午後、これまでで最も激しい空爆がドゥーマに対して行われた。国営放送のライブ映像には、黒い煙が厚い雲のように市街から立ち上る様子が映し出された。

アサド政権側は、「ジャイシュ・アル・イスラム」がダマスカス市内の住宅街を砲撃したと主張。同グループが拉致した兵士や市民を解放するという約束を反故にしていると非難している。

「ジャイシュ・アル・イスラム」は攻撃を否認。同幹部は「われわれが戦っている相手はロシアであり、政権側ではなかった」と言う。

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