中国で昨年から今年にかけ、無人コンビニなどの実験店舗が続々と現れ、ニュースでは華々しく紹介されている。だが中国では、こうして話題を集めている場所に実際に行って触って買ってみると「だまされた、大風呂敷だった!」と感じさせられることも多々ある。最新の実験店舗も、やはり自分で実際に行ってみてみないと分からない。さまざまな店の実態を探るべく、中国の都市を行脚し、無人コンビニなどを見に行ってみた。
こうしたハイテク店舗の出店ラッシュは、中国ネット大手の阿里巴巴(アリババ)が2016年10月、オンラインとリアルショップを融合した「ニューリテール(新零售)」という概念を発表したのがきっかけだ。その後、アリババに遅れはとるまいと騰訊(テンセント)や京東(JD)といった大手など様々な企業が追随した結果、未来を感じる新しいコンビニなどが誕生した。
最も報じられているのはガラス張りの無人コンビニ「繽果盒子(Bingo Box)」だろうか。ガラス張りとはいえ、ロックされたドアがあり、密閉された空間になっている。ドアにはQRコードが表示されていて、ここから専用スマートフォンアプリをダウンロードし、操作することでドアが開錠し、店に入ることができる仕組みだ。並んだ商品にはタグが付いていて、無人レジに置くと値段の合計が表示され、電子決済で購入するというものだ。
一見未来感を感じる。だが想像してみよう。特に灼熱の夏場、初めて店に入るためにアプリをダウンロードするのはあまりに辛いのではないか。その上、実名によるユーザー登録も必要なのだ。コンビニを利用するために時間と手間がかかってしまうという、まったくコンビニエンスでない現実問題がある。
また、1つのドアを入口と出口として使っているため、入店者と退店者のタイミングが重なると、正しい手続きをしなくても入店・退店ができてしまう。
こんなトラブルも起きた。Bingo Boxではない広州の別の無人コンビニで、筆者が入店しようとドアのQRコードをスキャンしたところ、店内の別の客の商品の購入手続きを始めてしまうという珍事が起きた。
中の客もこれに気づいたのか、ガラス越しにジェスチャーで「私が先に」「どうぞどうぞ」とアクションして事なきを得た。この場合はお互いに状況を理解していたからいいものの、悪意ある客もまれにいる。商品タグがはがされて商品を盗まれるという事件も起きている。
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