2018年は「7月豪雨」「台風21号」「北海道胆振東部地震」といった大きな災害が発生し、多くの方々が深刻な被害を受けた。心よりお見舞いを申し上げる次第である。
7月に発生した豪雨では、岡山県倉敷市の真備地区において、川の増水により堤防が決壊し、多くの住宅が浸水することになった。そして、ハザードマップで浸水想定区域に指定された地域も大きな被害を受けた。倉敷市はこの地域の全戸にハザードマップを配布していたが、その存在自体を知らなかった住民もいるという(関連記事:ハザードマップと重なった浸水域、それでも犠牲者防げず)。
また、プレジデントオンラインによると、真備地区における土地価格の相場は隣の総社市よりも半値近くで、人気のエリアだったそうだ。移り住んだ住人はハザードマップの存在をどの程度知っていたのだろうか(関連記事:倉敷エリアに家を建てて被災した若者たち)。
このようなケースに限らず、危険地域として指定されている場所に、何の予備知識もなく新しく土地や住宅を購入してしまうケースが後を絶たない。なぜ、このような事態が起きてしまうのだろうか。
そもそも、ハザードマップ自体は各自治体が公表しているため、一般人でも閲覧することができる。しかし、その存在自体がよく知られていない場合が多い。
また、ハザードマップで危険地域に指定されている場所の不動産を購入する場合、不動産業者はその事実を顧客に知らせる義務はない。わざわざ、不動産価値を下げるような情報を伝える事業者は少ないのが現状だ。この問題の根本的な原因は“不動産業界の不作為”にあるといえるだろう。
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