海外の英字メディアの記事はどれも、ジャパンタイムズにとって辛辣(しんらつ)なものだった。英ガーディアン紙は、「『全てのニュ−スを恐れず、おもねることなく』というのがモットーだというジャパンタイムズ」と皮肉を込めて書き、「スタッフや読者の間で怒りが巻き起こっている」と指摘。
その上で、「評論家たちは、今回の変更が安倍晋三首相の保守的な政策に合わせたものだと批判しており、ジャパンタイムズは(徴用工や慰安婦の問題のような)賛否あるニュースを報じる際に『誤解を招きかねなかった』言葉を使ってきたと述べた」と報じている。つまり、これまでの記事で使ってきた単語が「誤解を招く表現だった」可能性があると自己批判をしたということらしい。
米公共ラジオのNPRは、この変更が「かなりの批判を引き起こしている」と報じ、「これから同紙は、朝鮮人や中国人、米国人の戦争捕虜たち、さらには1910〜45年に日本の鉱山や工場で働くために徴集された人たちについて、『forced labor(強制労働)』という言葉を使わずに、『wartime laborer(戦時中の労働者)』に変えることになる」と報じた。そしてTwitterなどでこのニュースに反応している人たちの声を紹介している。
ただこれらの記事は、ジャーナリズムとして見ると中途半端だと言えなくもない。もしかしたら偏っていると言ってもいいかもしれない。ガーディアンは「評論家たち」という言い方で「批判が起きている」と報じているが、記事には評論家のコメントは出てこない。この「評論家たち」が誰なのか分からない。
またNPRは、記事で紹介しているTwitterが偏っており、ジャパンタイムズの変更を批判している声だけしか載せていない。コメントを寄せる専門家も、もともと安倍政権に批判的な面々だ。
これら2紙以外にも、ドイツのTV局ドイチェ・ヴェレも、批判的な記事を掲載しているが、内容は他と変わらない。ただ執筆者が、元ジャパンタイムズの記者で、少なからず、個人的な感情も見え隠れする。NPRと同じ、慰安婦問題で日本批判の立場を取っている人のコメントを大きく使っている。
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