インタビュー
» 2019年01月09日 11時37分 公開

個人投資家列伝(4):「株価を見て売買するよりも、バイ&ホールドのほうが絶対リターンはいい」 データと統計を駆使するhiroakitさん (1/2)

データと確率計算を武器に、期待値に従って資産運用を行う投資家がいる。元エンジニアで投資ブログを運営するhiroakitさんもその1人だ。現在は、膨大なデータの解析を進めつつ、市場に存在するアノマリーを投資に生かす方法を研究している。

[斎藤健二,ITmedia]

 個人投資家の方々に、投資遍歴から投資に対する考え方まで聞いていくインタビュー企画。4人目は、データと統計を駆使しながらより優れた投資法を模索し続けている、「ROKOHOUSE シーゲル流ロジカル投資術」のhiroakitさんに話を聞いた。

 元エンジニアのhiroakitさんは、米国留学中に統計やビジネスを学んだ30代前半の男性だ。数千万円の資産を運用するにあたって、データ分析などを駆使しており、会社員とは違う、自由に生きている雰囲気を持っている。

 ブログでは、定評のある投資書籍に書かれている内容を元に、具体的なETFを調べて紹介しているが、実は彼が投資に入ったきっかけはFXだったという。

 「当時から株価のランダムウォークというような概念は知っていて、勘でやっても勝てないと思った。今となっては間違っているが、FXのスワップポイントを活用することを考えた。金利が高い通貨を分散して買って、金利が低い通貨を分散して売れば、価格変動がマイルドになって勝てるんじゃないか」

 FX(外国為替証拠金取引)では、通貨を買うと金利に応じた利息相当額を受け取れる。それがスワップポイントだ。逆に通貨を売ると、金利分のスワップポイントを払わなければいけない。これを組み合わせて利益を上げることを狙ったが、リーマンショック時の急速な円高で一気に資産を減らした。

 「留学中は投資から離れていたが、2016年に投資の勉強をしようと思い立った。何冊か読んだ本がシーゲルの『株式投資 第4版』、通称緑版。そのとき、一番心に残ったのが米国株式の200年間の対数グラフだった」

ジェレミー・シーゲル『株式投資 第4版』より

 このグラフはたいへん有名なもので、200年間の資産運用のリターンをグラフにすると、株式が右肩上がりに増えている一方で、金はほぼ横ばい、債券はその間くらい。そしてインフレ調整後のグラフなので、現金はマイナスになっている様子が描かれている。縦軸は対数、つまり10倍、100倍、1000倍というスケールになっており、株式は200年で70万倍になっていることがわかる。

 「このグラフを見て、株式は価格が上下しながらも登っていくものなんだと確信した。『21世紀の資本』を見ても、資本収益率は歴史的に4%を維持してきた。長期投資においては、徐々にリターンはプラスになっていく。ほとんどの国のデータを見ても、リターンがちゃんとプラスになっている。確率的に考えたら、株式投資をやっておくべきだろうなと」

 そこから、米国株を分散して買っておけばいいんじゃないのかと直感的に思った。そこからインデックス投資を継続している。ただし、単にインデックス商品を買って持っているだけではなく、投資に関するさまざまな仮説を実際に計算して試している。

 「僕はゲーマーなんですが、期待値を重視するんですね。カードゲームとかは特にそう。リスクをできるだけ分散させて勝つ確率を高めるには分散投資だと考えている。(株価が暴落しそうでも)いま下がるんじゃないかと考えてポジションを解消するよりは、投資を継続するほうがいいとか。期待値重視なんです」

 期待値を重視する姿勢から、株価を見て売買するよりも、バイ&ホールドのほうが絶対リターンではいい場合が多いと話す。投資のリターンは、運用期間の長さで決まることが多いからだ。データや統計を重視するスタイルも、実はゲームから身につけた。

 「麻雀をしていたときに、とつげき東北さん(麻雀研究家)の『科学する麻雀』を読んで、統計ってこんなに面白いことができるんだ、と思った」

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