では、このようなギャップがなぜ広まってしまったのかというと、やはり「いきなり!ステーキ」が原因のように思える。安くて質のいいステーキを日本のどこでも食べれるようにする、というビジョンを掲げた「いきなり!ステーキ」事業は、コック出身の一瀬社長からすれば、経営者としてなしえたい大仕事だ。だからこそ、その成功のために社員にこれまで以上の「連帯感」を求める。それが「点呼」であり、「感想文提出」だ。
もちろん、一瀬社長からすればこれは社員なら当然のことであって、ブラック企業だなんだと言われるのは、非常に不本意だろう。しかし、これから「いきなり!ステーキ」再建のために欠かすことのできない、若い人材たちはそう受け取らないのではないか。
それを象徴するのが昨年末にSNSで話題になった、一瀬社長から社員に向けて送られた「お願い」である。
『「いきなりステーキ」も「ペッパーランチ」も全国に展開しています。実家が地方の方にも、同居されていない方にも、是非美味しいステーキを食べに来て頂きたいと連絡してみて下さい。社長からのお願いです』
両親や兄弟、友人を喜ばすくらいに満面の笑みで接客をしなさいといった話をしていたかと思いきや、働く店があるのは幸せなことなので、その幸せの象徴が潰れないように、両親、兄弟、友人を店に呼んでカネを落としてもらいなさいというのだ。
もちろん、これも一瀬社長にとっては「いきなり!ステーキ」再建のため、全社員が「連帯感」を持つためには必要な施策なのだろう。しかし、この社長の「お願い」もSNSでは、「家族を呼べなんてブラックすぎる」「潰れそうな会社の典型的行動」と批判されてしまうように、社員を「離職」に導く材料になってしまう恐れもあるのではないか。
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