「タピオカバブル」がコロナで大崩壊 “聖地”原宿の閉店ラッシュと各社の生き残り策長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)

» 2020年09月16日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

最大手「ゴンチャ」の戦略

 業界最大手のゴンチャ ジャパン(東京都渋谷区)は、2006年に台湾で誕生して世界で約1300店を展開するゴンチャの店を、15年に日本初出店。急成長し、国内に75店をFC(フランチャイズ)中心にチェーン化している。

ゴンチャ(イメージ)。韓国には600店あるので、日本でもっと増やせるというのだが…

 日本では一般にタピオカ専門店と認識されているが、同社では一貫して自らを台湾ティー専門店またはアジアンカフェと称しており、あくまでお茶を楽しむ文化を広めるスタンスで経営してきた。パールと呼ばれるタピオカは4つあるトッピングのうちの1つである。

 同社では、コロナ禍の影響を受けてメニューの多様化に着手。6月17日にはグランデュオ立川店(東京都立川市)でコーヒーメニューを提供し始めた。順次、提供店を広げる予定だ。これは、来店頻度を向上させ、より幅広い顧客にゴンチャを知ってもらうのが目的。台湾茶に特化していては、生き残れないと判断したわけだ。

 コーヒーメニューは、ブレンドコーヒーやアイスコーヒー(S:250円、M:300円)の他、カフェオレ、黒糖ミルクカフェオレもある。黒糖ミルクカフェオレのみ、タピオカのトッピングが可能だ。

ゴンチャ立川グランデュオ店で提供される、アイスコーヒー

 同社のこれまでのお茶のメニューは400〜500円台が中心だったので、コーヒーはそれに比べれば安い。価格戦略の面もあるだろう。

 しかも、コーヒーに加えて、7月22日からは全店で果汁を発酵させたお酢を使った「ビネガードリンク」を提供し始めた。韓国の「美酢(ミチョ)」を使用している。天然果汁のマイルドな味が特徴だが、美容大国・韓国のイメージで、若い女性にアピールする狙いもあるようだ。

 フレーバーは「ざくろ」と、店舗によって「カラマンシー」または「パイナップル」のどちらかを販売。ミルクかソーダ、どちらかで割って提供する。こんにゃくゼリーが入っており、タピオカ、ナタデココ、アロエのうちの1つを無料でトッピングできる。価格は470円。

ゴンチャのビネガードリンク、ざくろ。ミルク、イチゴジャム、こんにゃくゼリーが入っている。よく振ってから飲む

 コーヒーは男性、ビネガードリンクは女性に、どこまで浸透するか。そして、ゴンチャの企業価値を上げられるか、注目される。

 また、新業態として対面販売を行わないデリバリー特化型の「ゴーストレストラン」にも進出した。6月12日にオープンした新橋3丁目店(東京都港区)は、FC加盟店がレストランを経営しており、そのキッチンを使って、ゴンチャメニューのデリバリーを行っている。

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