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JR北海道からSL拝借、東武鉄道に「ビジネスチャンス」到来杉山淳一の「週刊鉄道経済」(2/5 ページ)

とてつもなく楽しいニュースだ。東武鉄道が2017年を目標に蒸気機関車の運行を準備しているという。JR北海道で活躍の場を失った機関車を借り受け、ついに大手私鉄がSL観光列車に名乗りを上げた。その背景に、東武鉄道のシニア顧客獲得がありそうだ。

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ローカル線向きのC11形207号機

 C11形207号機は、タンク式という、比較的小さな蒸気機関車である。機関車内に水と石炭を搭載する。搭載量が限られるから、用途は支線の短距離運行や駅構内の車両入れ替え作業だった。これに対して長距離運行する蒸気機関車はテンダー式と言って、直後に炭水車という水や石炭を搭載する車両が付随する。

 タンク式は航続距離が短いけれど、蒸気機関車としては軽い方だから、ローカル線の線路規格にも対応できる。また、炭水車がないおかげで後方視界も良好のため、後ろ向き状態でも運用できる。つまり転車台の設備がなくてもいい。JR北海道でも片道の後ろ向き運行が行われていたし、大井川鐵道も新金谷駅に転車台が作られるまでは片道の後ろ向き運行だった。観光列車としては導入しやすい。

 ただし、後ろ向き運行はちょっとブサイクで魅力に欠ける。乗客が停車中に記念写真を撮ろうとしても、背景が機関車のお尻になってしまう。だから、大井川鐵道では島田市の協力で転車台が設置された。東武鉄道はどうするつもりだろう。当初は片道後ろ向き運行としながら、人気が出たら転車台を設置するという算段かもしれない。下今市駅は日光線と鬼怒川線の分岐駅だから、2つの線路の間に短絡線を作って三角線を設けて向きを変えるという力技もあるけれど、用地買収の必要があり難しそうである。

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