高校野球の名参謀が語る「勝利への哲学」:ビジネスパーソンが余暇に読みたい1冊
コーチや部長として甲子園で春夏通算62勝を上げた小倉清一郎氏は、指導者としてのキャリアの大半を横浜高校に費やした。そこで培った「勝つための野球」について本書で紹介している。
全国高校野球選手権大会、いわゆる「夏の甲子園」が始まってから今年でちょうど100年を迎えた。1915年の開始当時は全国中等学校優勝野球大会という名称で、第1回大会は京都二中が優勝した。
それから100年。今や国民的行事といっても過言ではない一大イベントとなった。また、この舞台から数々のドラマが生まれ、多くの名選手たちが輩出されていることは改めて強調するまでもないだろう。
甲子園出場32回、通算勝利数は62勝――。この輝かしい数字は、2014年夏に神奈川・横浜高校を勇退した小倉清一郎氏の持つ記録だ。小倉氏は東海大一高校、横浜商業高校、そして横浜高校で41年間、高校野球を指導した。しかも監督ではなく、コーチや部長として、チームの参謀役を徹底的に務め上げたのである。
本書は小倉氏の半生を振り返りつつ、小倉氏が長年にわたる高校野球指導で培った、選手への指導論、勝つための戦略論などを具体的なエピソードとともに記した1冊である。
1998年夏の甲子園準々決勝。高校野球ファンのみならず多くの人たちによって今なお語り継がれる伝説の一戦「横浜 vs PL学園」の激闘の裏ではどのような駆け引きが行われていたのか。松坂大輔や涌井秀章をはじめとするエース投手をいかにして育てたのか……。横浜高校で実践した「勝つための野球」について、さまざまな角度からそのエッセンスを垣間見ることができるだろう。
ビジネスの世界にも参謀は存在する。経営トップの黒子に徹しながら自社の戦略立案に深く携わる一方で、競合他社に関するさまざまな情報の収集にも余念がない。そんなキャリアを思い描くビジネスパーソンは必読の書と言えよう。
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