日本企業にも普及するのか? タレントマネジメントの今(3/5 ページ)
近年「タレントマネジメント」というシステムが注目を集めている。海外のグローバル企業を中心に広まっているが、日本企業の普及は遅い。その理由について、リクルートワークス研究所の石原氏に聞いたところ……。
タレントマネジメントを実践するために解決すべき日本企業の課題とは
――日本企業ではなかなか想像できない世界ですね。海外のグローバル企業と比較して、日本企業の人材マネジメントにはどのような課題があるのでしょうか。
石原: まず日本では(海外の企業と比べて)意識に違いがあり、支社や海外法人、子会社や孫会社、買収した会社の優秀な人材を企業経営の中枢で起用できるという発想がありません。あくまで本社で新卒時から正社員採用した生え抜きの人材こそが本社の中枢メンバーであり、それ以外は中枢メンバーにはなりえないという感覚が強いのです。「人材こそが全てだ!」と言っておきながら、その“人材”というのは22歳のとき(新卒採用時)に本社で選抜された100名あまりの総合職正社員だけ。地方の支店や支社で採用された人材ですら、企業の“主要メンバー”からは外されてしまう。日本企業の人材育成に対する考え方は非常に中央集権的であり、「経営の中枢のために育成する人材はこれだけでよい」と22歳の時点で結論づけてしまっているのが、日本企業の人材マネジメントの課題なのです。
例えば、35歳でものすごい頭角を現す人材がいるかもしれない。32歳のときに携わった新規ビジネスが大きな成果を収めるようなこともあるかもしれない。買収した企業のマネージャーが非常に優秀であるかもしれない。それでも、こうした社員は企業の中枢を担う人材としてカウントされることはなく、あくまでその人材は22歳のときにセレクションされた社員なのです。こうした体質がGEやIBMが実践するタレントマネジメントを実現する上での大きな壁になっているのです。
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