あれ? なぜコインパーキングで「予約」ができないのか:水曜インタビュー劇場(駐車場公演)(2/7 ページ)
駐車場シェアリングが拡大している。利用者のメリットは、空き駐車場を予約できることだが、なぜ既存のコインパーキングでは予約することができないのか。駐車場シェアリング「akippa」を運営する金谷社長に話を聞いたところ……。
「駐車場シェアリング」を始めたきっかけ
土肥: 駐車場シェアリングの事業を始められようと思ったきっかけを教えてください。
金谷: 2009年2月に会社を設立して、当時は携帯電話の販売代理店や求人広告を販売していました。しかし、クレームが多く、「この仕事をなんのためにやっているのかなあ」と悩んでいました。
会社の企業理念は「なくてはならぬをつくる」。「不便なこと」「困っていること」を解決するためにはどうしたらいいのか。企業理念を振り返ることにしました。当時、従業員は30人ほどいたのですが、全員に「不便なこと」「困っていること」を壁に書いてもらったんですよ。その中に「駐車場を探していたのに、コインパーキングが『満車』でクルマを停めることができなかった」といったことが書かれていました。それを見て、「駐車場シェアリングであれば、その問題を解決できるのでは」と考えました。
次に、市場環境を調べました。毎秒路上駐車をしている台数を確認したところ、東京都は6万3000台、大阪府は3万1000台にも達していたんですよね。クルマの台数は7600万台(2014年)に対し、全国にあるコインパーキングの駐車場数は520万台しかありません。月極駐車場と自宅の駐車場は1億台以上あるのですが、約3割が空いているんですよ。約3000万台の空き駐車場と一時的に駐車したい人……つまり、遊休スペースと駐車ニーズをスマートフォンでつなぐことはできないかと考え、このビジネスをスタートさせました。
土肥: 駐車場の拠点数をみると、2015年12月末日現在で4215カ所。月600カ所ペースで増えていて、このまま推移すれば、2016年10月ごろに1万台に達成する。コインパーキング業界2位の「三井のリパーク」の拠点数は約1万カ所なので、ほぼ同じ規模になりますね。
金谷: 2017年10月ごろには、業界トップの「タイムズ」(約1万5000カ所)の数字を超えているかもしれません。
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