なぜ世界各地の都市で「夜の市長」が注目されているのか:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
世界各地の都市で、新しい役職の存在が注目されている。「ナイト・メイヤー(Night Mayor)」だ。直訳すると「夜の市長」になるわけだが、彼らはどのような仕事をしているのだろうか。
世界を読み解くニュース・サロン:
今知るべき国際情勢ニュースをピックアップし、少し斜めから分かりやすく解説。国際情勢などというと堅苦しく遠い世界の出来事という印象があるが、ますますグローバル化する世界では、外交から政治、スポーツやエンタメまでが複雑に絡み合い、日本をも巻き込んだ世界秩序を形成している。
欧州ではかつて知的な社交場を“サロン”と呼んだが、これを読めば国際ニュースを読み解くためのさまざまな側面が見えて来るサロン的なコラムを目指す。
世界中どこにいっても、人々が暮らす場所には市区長村などを統率する首長が存在する。
彼らは地域の行政に責任をもち、市民生活を向上させるために日々働いている(と願う)。ほとんどの首長は、役場が開いている昼間の時間帯に仕事をする。9時〜17時で働いている、というイメージをもつ人が多いだろう。
ところがこうした首長とは一線を画す、新しい役職の存在が世界的に注目されている。「ナイト・メイヤー」だ。
英語で「Night Mayor」と書くこの役職は、「夜の市長」と訳すことができる。つまり、ナイト・メイヤーとはその名の通り、昼間の市長とは別に、夜の行政を専門に担当する責任者のことを指す。そして今、このナイト・メイヤーが欧州各地で誕生しており、その存在が世界的に話題になっているのだ。しかも今後、世界各地で同様のポストが設置される可能性があるとも言われている。
2016年4月、オランダの首都アムステルダムで、世界初の第1回「ナイトメイヤー・サミット」なるものが2日にわたって開催された(参照リンク)。同じ時期にアムステルダムで行われていたEU(欧州連合)の「市長サミット」に合わせて行われたこの会議では、昼・夜の市長や行政関係者、さらに起業家など世界各地から200人ほどが参加した。ナイト・メイヤーについての集まりだけあって初日は夜20時にスタートし、主に5つのテーマで講演や議論が行われた。そのテーマとは、「夜間の経済」「公衆衛生と政治」「都市空間の再定義」「モビリティ」「ナイト・メイヤーへの道」だ。
なぜ第1回の国際会議がアムステルダムで行われたのか。その理由は、世界で初めてナイト・メイヤーが誕生した都市がアムステルダムだからだ。
関連記事
- 世界が販売禁止に乗り出す、“つぶつぶ入り洗顔料”の何が危険なのか
スクラブ製品が、世界的に注目されているのをご存じだろうか。私たちが何気なく使っているスクラブ洗顔料や歯磨き粉などの一部には、いわゆる「マイクロビーズ」と呼ばれるプラスチックの粒子が使われている。その粒子が……。 - 世界から「児童ポルノ帝国」と呼ばれるニッポン
衆議院で可決した「児童買春・ポルノ禁止法」改正案。日本では大きく報じられていないように見えるが、海外では大きな話題になっている。規制が強化された格好だが、海外メディアの反応は厳しい。その内容とは……? - 中国政府がいま最も恐れているのは、ネット上の「くまのプーさん」
中国共産党がネット上の検閲に力を入れている。いわゆる「サイバーポリス」と呼ばれる工作員が反政府的な発言などをチェックしているが、2015年に最も削除された発言は……。 - なぜ「楽天」が世界中で叩かれているのか?
英語の社内公用語化など、グローバル企業への成長を目指して動き出した楽天。だが、本当に必要なのは「国際企業ごっこ」ではない。国際社会に対する社会的な貢献が求められる。 - 「最恐の殺人地域」を救うことができるのか 武器は日本の意外な“文化”
「中南米は危険」といった話を聞いたことがあると思うが、私たちが想像している以上に“危険”であるようだ。「世界で最も暴力的な都市2015年」を見ると、上位に中南米の都市がランクイン。こうした状況に対して、日本のある文化が期待されている。それは……。 - フランスで「食品廃棄禁止法」が成立、日本でも導入すべき意外な理由
フランスで「賞味期限切れ食品」の廃棄を禁止する法律が成立した。世界で類を見ない画期的な法律であると世界各地のメディアで取り上げられ話題になっている。課題もたくさんあるが、フランスのこの取り組みは日本でも参考になるのではないだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.