日本の「顧客主義」は「ボンドカー」のアストンマーチンを救えるのか:来週話題になるハナシ(2/4 ページ)
ジェームズ・ボンドが愛用するクルマ「ボンドカー」として有名なアストンマーチンが、再び注目されている。何度も倒産危機に追い込まれた同社のCEOに就任したアンディ・パーマーは、日産自動車でゴーンCEOの右腕として活躍。新天地でパーマーCEOはどのような手を打ってきたのか。
アストンマーチンの魅力
アストンマーチンの最大の魅力は、創業1913年という歴史と、英国のクラフツマンシップを集約した格式あるブランドにある。フェラーリのようなイタリア車の派手さはないが、落ち着いた伝統を感じさせるエレガンスがある。
そうした格式のあるアストンマーチンは、英国人にとって特別な存在となっている。それは、ウィリアム王子とキャサリン妃の結婚式で使われた事実からも分かる。ウィリアム王子がキャサリン妃を乗せて運転していたのが、非常にクラシックなアストンマーチンのDB6(1965年から70年製造モデル)だった。ちなみに、そのクルマはチャールズ皇太子が所有しているものだ。
またアストンマーチンには、他社にはない強力なブランドイメージがある。その理由は、何といっても、映画『007』シリーズとの関係だ。同社のオーナーだったデイビッド・ブラウン氏が尽力して、映画『007』で「スパイが愛用する、クールでスタイリッシュなクルマ」という、シンプルかつ強烈なブランドイメージを世界中に浸透させることに成功した。そのイメージは現在でも健在だ。
こうした伝統や格式、ボンドカーに代表されるデザイン性が、人々を惹きつけてきた。
過去に遡(さかのぼ)ると、アストンマーチンは、投資家が死亡したり、破産して経営難に陥ったり、世界的な経済危機に巻き込まれて倒産寸前に追い込まれたこともあった。何度も資金難で倒産危機に直面してきた。
ただそのたびに、ブランドの魅力で投資を呼び込んできた。アストンマーチンと「恋に落ちた」ために投資を決めたという起業家もいるし、実際にアストンマーチンに乗ってその魅力から投資を決めた投資家もいた。その後も個人の投資家やファンドなどのおかげで、アストンマーチンは危機的状況にも消滅せずに1世紀以上にわたって高級スポーツカーのイメージを維持し、ブランドを存続させてきた。
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